Films/Dramas
パトリス・ルコント監督作。ミシェル・ブラン(昨年亡くなつた)、『冬の日』、『悪魔の陽の下に』のサンドリーヌ・ボネールが出演、最優秀助演賞にブラームスのピアノ四重奏曲第1番第4楽章と、在りし日のパリ北駅。 何度でも言ふ。これはフランス一流の心理小…
マーティン・ブレスト監督作。ブラッド・ピット、アンソニー・ホプキンス出演。とこしへの時を生きる悪魔に、倏忽として生を終へる人間が、愛とは何かを垂れる。生涯を懸けて相手への信頼と責任を全うすること、何より愛する人を傷付けぬこと、ださうだ。 心…
I mean something happened to me, and to you. 旧い友人に言はれた事がある、「貴方は常に何かを我慢して生きてゐる」と。私の青春を想ひ返せば、自らの惨めさを人に見透かされぬやう無理して気高く振舞はんとする、そんな記憶ばかりだ。 この映画が嘲笑ふ…
生涯傑作を生み出し続ける怪傑、ロマン・ポランスキー監督作。セザール賞。 トーマス・ハーディの『ダーバヴィル家のテス』といふ1891年の小説の映像化。男に運命を翻弄される無知な田舎娘。男のエゴイスムと女の不幸への執着。自然主義の作品らしく、人類の…
デヴィッド・マッケンジー監督作。ユアン・マクレガー、エヴァ・グリーンが出演、『男と女』のやうな、大人の恋を描ゐた作品かと思うたら、まあさうには違ひないが、まるでコロナ禍を予言したかのやうなSF、スリラー。イギリス映画らしさ。嗅覚、味覚、聴覚…
晴。本日は仕事を休んだ。投函はまだだが手紙を書いた。矢張り書くといふ事は良い、一々字引をするのではなく、脳裡に浮かんで来た儘に、一気呵成に思ふが儘に書くのが良い。推敲は必要だが、まずはそれでいい、それが気持ち良い。大分楽になつた。 ドミニク…
微雨、寒し。予報では雪と言つてゐたが案の定降らず。 先週の金曜日、駒場の日本近代文学館、「三島由紀夫生誕100年祭」なる催しに伺ふ。同窓や作家、文藝評論家に宛てた手記ら数多。また「盾の会」関連の写真など面白く拝見。1970年11月25日の市ヶ谷決起で…
1月20日、第2次トランプ政権発足、副大統領はJ.D.バンス。J.D.は'James David'の頭文字であるが、法学博士(Juris Doctor)の意もある。 第2次トランプ政権の陣容が、ウォール街のビジネスマン、メディアのセレブリティで占められる中にあつて、バンスの存在は…
スティーヴン・スピルバーグ監督、ジョン・ウィリアムズによる音楽、レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクスのW主演、豪華。さして互いを知らない女とのデートで観るのに適した、feeling goodなハリウッド映画。かうした類の映画に感想を求められると困る…
巴里帰りのフライトで視聴、何とこれ、金獅子賞である。 かうした作品が世に生み出され、ウケると云ふ現実。比較的上手く社会システムの回つてゐる日本に生きてゐると気付き難いのかも知れぬが、世の中、かほどに惨めな人らで溢れてゐるのだとしたら、その現…
主の降誕の日を過ぎると、どの仏蘭西料理店も休暇に入るので、私は食事に困る。だから私は仏蘭西料理に在り着くため、明日仏蘭西に渡る。何のことやら。 ジェームズ・アイヴォリーの『ハワーズ・エンド』、かの名作を2年ぶりに観返す。「今、物質は精神の高…
晴、寒し。雑司が谷を歩いてゐて、厳冬の灰色のなかに、柔らかい陽光に燦然と耀いてゐるのは何かと、傍らに寄つて見てみれば、そはダイヤモンドリリー、桃色のリコリスである。あまりに鮮明で強烈な画であつた。暫く忘れ得そうもない。 『プラダを着た悪魔』…
晴、溽暑。アンドレイ・タルコフスキー監督作、新文芸坐で鑑賞。幕引き後に聴こえたのは「意味が分らない」と云ふ声。だがそんな愚劣な理由で本映画に対し浅薄な評価を下す者は、抑々映画の観方を知らない。映画に於てストーリーはさして重要ではない。かの…
晴、宵には涼しき風。先の週は精神の不調が甚しかつた。 ダニエル・シュミット監督作。スイス映画といふ括り。あざやかな色つかひ。おとぎばなしのやうな優しさ、私の病める魂を慰める、恍惚として画面に見入つて了つた。心地良い時間であつた。 それにして…
アラン・レネ監督作、曩日新文芸坐で鑑賞。アラン・レネにしては珍しく「訳分からない」事もない、ストーリーのある映画。フランコ体制下のスペインに反撥し、国外(フランス)で運動する共産主義者運動家の男の3日間を描く。時系列を無視して断片的に過去・…
金子修介監督作、『トーマの心臓』に着想を得て制作されたといふ、寄宿舎学校に学ぶ4人の少年の物語。 少年の役を少女に演じさせてゐるのは、制作陣のロリコン趣味かな。80年代、時恰もロリコン文化最盛期だから仕方がない。不自然だ、顔が女だもの。少年に…
晴、灼熱溽蒸。夜には涼気。 ド・シャロンジェ監督作。ジャン=ルイ・トランティニャン、カトリーヌ・ドヌーヴが出演。第4回セザール賞最優秀作品。 銀行のスキャンダルのスケープゴートにされた男の反抗。メランコリックな音楽、暗澹とした雰囲気の中で、金…
Providence(摂理)。ジョゼフ・ド・メーストルを思ふ。 アラン・レネ監督作。第3回セザール賞最優秀作品。『ベニスに死す』のフォン・アッシェンバッハ、ダーク・ボガードが出演。王立演劇学校出の舞台役者達、英国映画さながらの美くしいReceived Pronounc…
ジョゼフ・ロージー監督作。アラン・ドロン、ジャンヌ・モロー、名脇役のマイケル・ロンズデール(ルイ・マルの『好奇心(Le Souffle au cœur)』で見た覚えがあつた)等が出演。第2回セザール賞の最優秀作品賞。制作陣の美意識が際立つてゐる。その年の競争…
晴、灼熱溽蒸。午后驟雨有。今週は何があつたか。仕事でTVに映つた。無論エキストラAとしてに過ぎない。だが反響が凄い。世の中がミー嬢とハー嬢とで溢れてゐる証左。マスメディア、或いはソーシャルメディアを活用せずにこの社会を生きる私は全くの愚者であ…
ひねもす雨、涼気。クロード・ルルーシュのLes Uns et les Autresが観たくて、二日間程探したのだが、どうしても英字幕版が見つからず、代わりにクロード・シャブロルのLes Cousinsを鑑賞。 1959年のベルリン映画祭で金熊賞、良い映画だ、人の世を巧妙に描い…
先日の泉屋博古館はよかつた。『源氏物語』等の物語絵の展示と裸婦画家の黒田清輝に就いて少し。私は日本美術に疎い。故に何を美くしいと見るか感覚を用ゐての勝負である。それはそれで面白い。 展示よりも、天気と連れがよかつた。すなはち沛然豪雨の午后、…
クリストファー・ハンプトン監督作、Progressiveな映画。ブルームズベリー・グループの作家、リットン・ストレッチーとその恋人(かう呼んで差し支へないと信ずる)、エマ・トンプソン演ずるドーラ・キャリントン、並びに周辺人物との関係を描く。どうしたら彼…
ロジャー・ミッシェル監督作。『モーリス』のヒュー・グラントが出演してゐる、当時39歳。かういふフィーリング・グッドな映画も偶には良い。斯様なものを積極的に取り入れた方が、人は素直なままで倖せになれるのだと、分かつてはゐるのだが。 ウィリアムと…
アン・リー監督作。ジェイン・オースティン『分別と多感』(1811)の映像化作品。『ハワーズ・エンド』のエマ・トンプソン、ヒュー・グラントらが出演。英国式のコスチューム・ドラマの名作を観たければ、エマ・トンプソンの出演作品一覧にあたれば良いと思は…
クリストフ・オノレ監督作。新文芸坐で鑑賞。オノレは指揮者の大野和士氏と交遊があるやうで、彼の依頼により幾つかオペラ演出も手掛けてゐる。 During the play, I wondered to get up and walk away several times. 同性愛描写がきつい、宗教を悪し様に描…
『ゴールデンスランバー』といふ映画を見た。コメディ調で趣味では無いと思つたが、竹内結子が出演してゐるとの事で。竹内結子ファンの方の推薦。 私は小学生の頃から、好きな女優を問はれると必ず竹内結子と応へて来た。彼女の追つかけではない。出演作品も…
晴れ。銀座三越で買ひ物中、大学時代の友人2人から電話、新橋にゐるから飲まうと。休日の新橋は白けてゐるので、新宿に移動し、バガボンドでグラスを傾ける。いつもこの店だ、この店が無ければ私はどうなるのか。 新文芸坐でヴィム・ヴェンダース特集があつ…
藝術家は美に對する精妙な感性があればこそ藝術家なのだが、この感性には同時にまた、あらゆる醜あらゆる不均衡に對する精妙な感性が含まれてゐる。詩人は不正のないところに決して不正を見ないが、俗眼には何も見えぬところに屡ゝ不正を視る。詩人の過敏と…
晴れ、喜びの主日。入祭唱には『久しく待ちにし』が歌われた事だろう、欠席したから真偽は判らぬが。行きつけの仏蘭西料理店で食事。シェフとマダムに年の瀬の挨拶を済せた後、木枯らしが散した枯葉の上を逍遥し乍ら、来週に迫った羇旅の事を考えていた。旅…