Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

Films/Dramas

『刑事フォイル レーダー基地(Eagle day)』S01E04

"Eagle day"とは何かと思い調べてみたら、ナチスの軍事作戦のコードネームだそう。独逸語で"Adlertag"、英国空軍基地(Royal Air Force)を空爆する作戦のこと。邦題の「レーダー基地」は腑に落ちない。もっと他に名付けようがあったように思える。 サスペンス…

『刑事フォイル 兵役拒否(A Lesson in Murder)』SE01EP03

因果関係の難しいエピソードであった。そもそも見落としが多い。手がかりが見えぬことに動揺し、基礎をも忘れてしまった為、成す術が無かった。悔しくて今夜は眠れない。 "Eliminate the impossible and whatever remains however improbable must be the tr…

『刑事フォイル 臆病者(The White Feather)』S01E02

ファシズム団体の会合が開かれているホテルで、ホテルオーナー夫人が銃殺された。夫人はファシズムに傾倒していた。宿泊者リストにはユダヤ人。外には怪しい人影。 本ケースは、視聴者にフォイルよりも多くのヒント(しかも決定的な)が与えられていたから、割…

『刑事フォイル ドイツ人の女(The German Woman)』S01E01

She was only a German woman. 出版社の女性から、『刑事フォイル(Foyle's war)』なる英国のドラマを勧められたのであるが、これが中々面白い。名前の通り推理物。1940年戦禍の英国が舞台、話には戦争が大きく絡む。まだシーズン1の1話しかみていないが、殺…

ブレット・ラトナー『天使のくれた時間(The family man)』2000

ニコラス・ケイジ主演。『素晴らしき哉、人生』をモチーフに制作された、クリスマスの家族物語。

ドゥミ『都会の一部屋(Une chambre en ville)』1982

2022年映画初め。ジャック・ドゥミ監督作。ヒロインは『家族の肖像』『1900年』に出演しているドミニク・サンダ。『ロシュフォールの恋人たち』に引続きダニエル・ダリュー、ミシェル・ピコリ(変態役)が出演。ドゥミは部屋の装飾や登場人物の服飾に、色鮮や…

ロメール『クレールの膝(Le genou de Claire)』1970

エリック・ロメール監督作。駄作。何故この監督は、不自然で愚にもつかぬ、青臭い議論を好むのだろう。大嫌いだ。

ロメール『モード家の一夜(Ma nuit chez Maud)』1969

エリック・ロメール(Éric Rohmer)監督作。ジャン=ルイ・トランティニャン主演。

ロベール・ブレッソン『田舎司祭の日記(Journal d'un curé de campagne)』1951

ロベール・ブレッソン(Robert Bresson)監督作。原作はジョルジュ・ベルナトスの同名小説。早稲田松竹で観賞。 フランス北部の小さな村に赴任した若い司祭。信仰が形骸化する時代。村人からは受け容れられず、信仰への確信も揺らぎ煩悶しつつも、彼は神と向き…

ルノワール『フレンチ・カンカン(French cancan)』1954

ジャン・ルノワール監督作。フランソワーズ・アルヌール(Françoise Arnoul)主演、美人だ。彼女は今年の夏に亡くなった。フレンチ・カンカンとムーラン・ルージュの誕生を描く華やかな(騒がしい)映画。「良い話」で終わらせない所がルノワール。それに最後の…

トッド・フィリップス『ジョーカー(Joker)』2019

トッド・フィリップス(Todd Phillips)監督作。ヴェネチアの金獅子賞。歪んだ社会に於ける悲劇。負け犬に優しい主題だから受けたのだろう。面白かったが、こういう類の悪は美しくない。

溝口健二『雨月物語』1953

溝口健二監督作。京マチ子、田中絹代らが出演。ヴェネツィアでの銀獅子をはじめとして国際的な評価が高い。ゴダールやユスターシュなどヌーヴェル・バーグの系譜に與えた影響も大きい。 銀獅子も宜なるかな。この作品ほどに表現力に富み、芸術性の高い映画と…

メルヴィル『サムライ(Le Samouraï)』1967

ジャン・ピエール・メルヴィル監督作。アラン・ドロンが殺し屋を演じる。これほど言葉少ななフランス映画も珍しい。 三島由紀夫の評価を引用。 「〈サムライ〉は、沈黙と直感と行為とを扱った、非フランス的な作品で、言葉は何ら重要でなく、情感は久々の濡…

パトリス・ルコント『イヴォンヌの香り(Le Parfum d'Yvonne)』1994

パトリス・ルコント(Patrice Leconte)監督作。ルコントの脚フェチ。凡そ無気力で厭世的な男の理想を詰込んだような作品。有閑階級の男(イポリット・ジラルド,Hippolyte Girardot)が避暑地で女と出逢う。美しい女性を思うようにすることなどできない。 なんて…

フランコ・ゼフィレッリ『ハムレット(Hamlet)』1990

監督はフランコ・ゼフィレッリ(Franco Zeffirelli)。ヴィスコンティ監督のもとでキャリアを築き、オペラの演出を中心に活動した人物。ハムレットを演じるのはメル・ギブソン(Mel Gibson)。狂気のハムレット。

シェカール・カプール『エリザベス: ゴールデン・エイジ(Elizabeth: The Golden Age)』2007

シェカール・カプール(Shekhar Kapur)監督作。エリザベス1世の半生を描く。メアリー・スチュアートの処刑、アルマダの海戦。ケイト・ブランシェットの飛躍的に向上した演技力も見物。孤独な女の羨望、不安、苦悩。

シェカール・カプール『エリザベス(Elizabeth)』1998

シェーカル・カプール(Shekhar Kapur)監督作。エリザベス1世の前半生、ノーフォーク公の処刑までを描く。カトリックを悪趣味に描いていて嫌なイギリス映画。我らがDr.ワトソン(エドワード・ハードウィック)が、アランデル伯役で出演していて愕いた。良い役で…

コッポラ『タッカー(Tucker: The Man and His Dream)』1988

『ゴッドファーザー』シリーズのフランシス・フォード・コッポラ監督。第二次世界大戦後のアメリカに実在した、スタートアップの自動車メーカー「タッカー社」が、革新的なアイデアと実行力で優れた車を生み出すも、成果を妬む大手に潰されるという話。古き…

『息子のまなざし(Le Fils)』2002

ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ(Jean-Pierre and Luc Dardenne)監督作。オリヴィエ・グルメが主演。 職業訓練所で木工を教える男。彼には妻と幼い息子がいたが、殺人事件で息子を喪った後に妻とも別れ、孤独に生きていた。そんなある日、1人の少年が…

ジョン・アミエル『ジャック・サマーズビー(sommersby)』1993

ジョン・アミエル(Jon Amiel)監督作。ジョディ・フォスター(Jodie Foster)が出演。 マルタン・ゲール事件を題材にしたフランス映画『マルタン・ゲールの帰還(le retour de martin guerre)』1982の翻案。南北戦争後の南部アメリカを舞台にする。 戦死したと思…

ロベール・ブレッソン『バルタザールどこへ行く(Au Hasard Balthazar)』1966

ロベール・ブレッソン(Robert Bresson)監督作。少女マリーとバルタザールと名付けられたロバの受難を描く。無駄を削ぎ落した禁欲的映像と強い音への拘り(例えば跫音、ガラスが割れる音、リンゴを齧る音)が印象的。 ロバを主役に用いた作品は前にも後にも本作…

トリュフォー『終電車(Le dernier metro)』1980

円熟のフランソワ・トリュフォー(François Truffaut)監督。亡くなる4年前の作品。セザール賞を総なめにした。占領下のパリ。モンマルトル劇場には「南米に逃れた」とされているユダヤの劇場支配人が隠れている。彼はカトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)…

ロマネク『私を離さないで(Never let me go)』2010

マーク・ロマネク(Mark Romanek)監督作。カズオ・イシグロの同名小説を原作とする。舞台は並行世界の英国。臓器提供(National Doner Programme)のために育てられた子供たちが、恋をし、自身の役目を果たすまで(completion)の話。人々の倫理観に訴える、ベル…

ルコント『橋の上の娘(La fille sur le pont)』1999

パトリス・ルコント監督作のモノクローム映画。テイストとしてはコメディになるのか。それにしては始まりが深刻過ぎるが。俳優もダニエル・オートゥイユ(Daniel Auteuil)にヴァネッサ・パラディ(Vanessa Paradis)と豪華。総合してアメリカ映画。

アイヴォリー『日の名残り(The remains of the day)』1993

『眺めのいい部屋(A room with a view)』のジェームズ・アイヴォリー監督作。云わずと知れたカズオ・イシグロの同名小説を映画化したもの。過去を抱える執事スティーヴンスが“Un reliable narrator”をこなす。技巧に凝った脚本だ。

リヴェット『ランジェ公爵夫人(Ne touchez pas la hache)』2007

ジャック・リヴェット監督。原作は1834年のバルザックの小説『ランジェ公爵夫人(La Duchesse de Langeais)』。“Ne touchez pas la hache”は「斧に触れるな」という意味。見応えのある映画だ。リヴェットお得意のコスチュームプレイが活きている。

キレヴェレ『聖少女アンナ(Un poison violent)』2010

カテル・キレヴェレ(Katell Quillévéré)監督作。堅信式を迎える娘とその家族の話。 祖父は病気で床に臥せており死が近い。両親は離婚の危機にある。自身は幼馴染の少年と関係を結んだ。この状況下堅信を受けることに戸惑う彼女を描く。 フランス映画だがイン…

ルコント『髪結いの亭主(Le Mari de la coiffeuse)』1990

パトリス・ルコント(Patrice Leconte)監督作。ジャン・ロシュフォール主演。髪結いの亭主になることを夢みていたアントワーヌ少年。夢を叶えた彼は妻マチルドとの官能に耽る。幸福を喪う恐怖。

アンダーソン『ファントム・スレッド(Phantom thread)』2017

ポール・トーマス・アンダーソン(Paul Thomas Anderson)監督作。彼はカンヌ、ヴェネツィア、ベルリンで賞を取ったらしいが随分平凡だと思う。社会に媚びて何が創作か。ブラームスのワルツop.39-11が使われている。幸運だ。2作品続けてブラームスを聴けるとは…

ルコント『仕立て屋の恋(Monsieur Hire)』1989

パトリス・ルコント(Patrice Leconte)監督作。ミシェル・ブラン(Michel Blanc)が演じる、嫌われ者の仕立て屋の恋を描く。原作はジョルジュ・シムノンの同名小説Les Fiançailles de Mr Hire。救われない話だが僕は好きだ。やはり都合の良い女性なんて存在しな…