Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

オリバー・パーカー『ドリアン・グレイ(Doriangray)』2009

オリバー・パーカー(Oliver Parker)監督作。オスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』を原作としているが、オリジナルの要素が強い。本作はこれまで何度か映画化されているから、変化を付けたかったのだろう。ちなみにパーカーは、同じくワイルドの喜劇『真面目が肝心』の映像化も手掛けてる。

 

ledilettante.hatenablog.com

安っぽいゴシック映画、いやむしろテレビドラマのような印象を受けた。CGで遊びすぎている。せっかく服飾や装飾へのこだわりが感じられるのに、勿体ない。
またオリジナル部分の脚本についても、それを追加することで、物語をどう変化させたかったのかが分からない。尺を伸ばしたかった? それであれば、ドリアンとシェイクスピア俳優シヴィル・ウェインとの恋愛を深堀りすべきであったろう。何故ドリアンがシヴィルを愛し、何故シヴィルから心が離れたのか(ここが重要)。偶像崇拝者の心の移り気を、全く描けていない。原作を愚弄する、愚かな監督だ。こんな人間がシェイクスピアの『オセロ』も手掛けたというから、笑わせる。