Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

リラダン『殘酷物語(Contes cruels)』1883

『残酷物語』は、ヴィリエ・ド・リラダン伯爵が1883年まで種々の雑誌に発表してきた作品に推敲彫琢を施し、そこに未発表の4篇を加えて出版された短篇集である。 「ヴィリエは夢と諷刺の両者から成り立っている」とレミ・ド・グールモンは言う。この『残酷物…

バタイユ『マダム・エドワルダ(Madame Edwarda)』1941

筋らしい筋のない、ヌーヴォー・ロマンの先行作品というべきもの。男と娼婦の、啓示的な一夜の物語。バタイユは、『聖なる神』という総題のもと、エロティシズムを主題とした三部作を構想していた。本作はその第一部である。 快楽と苦痛、すなわち性と死は根…

コッポラ『タッカー(Tucker: The Man and His Dream)』1988

『ゴッドファーザー』シリーズのフランシス・フォード・コッポラ監督。第二次世界大戦後のアメリカに実在した、スタートアップの自動車メーカー「タッカー社」が、革新的なアイデアと実行力で優れた車を生み出すも、成果を妬む大手に潰されるという話。古き…

ユイスマンス『さかしま(A Rebours)』1884

物語は断片的で、殆どは主人公デ・ゼッサントの芸術論。文学、絵画、室内装飾、花、香水等、多岐にわたって彼のダンディズムが披露される。悍ましいブルジョワ社会から逃れて人工的耽美の世界に沈んだデ・ゼッサント。しかしそれにも嫌気が差すと、彼は漠と…

20210501日記

2021.05.01青蓮院門跡の楠を見た。親鸞が植えたものと書いてあるが眉唾物。服を作りに四条まで出かける。 2021.05.02行きつけの紅茶屋に寄り、お決まりの散歩道をゆく。南禅寺から禅林寺、若王子神社、安楽寺、法然院を経て慈照寺に至る。高度に洗練されたル…

コクトー『恐るべき子供たち(Les enfants terribles)』1929

ジャン・コクトー(Jean Cocteau)は生涯3作の小説を遺しているが、『恐るべき子供たち』が代表作といってよい。阿片中毒の治療中に僅か17日で書き上げたらしい。感傷的なラストシーンがあまり好きではない。混乱を混乱のままに書いている印象。少年たちの心理…

ブリテン「入祭唱(Procession)」『キャロルの祭典』

www.youtube.com 『キャロルの祭典』の入祭唱。グレゴリオ聖歌"Hodie Christus natus est" と旋律を共有。宗教曲のソプラノは少年合唱団に任せるに限る、それが不安定であろうと。 Hodie Christus natus est:今日、キリストがうまれた hodie Salvator apparu…