Mon Cœur Mis à Nu

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

アラン・レネ『去年マリエンバートで(L'Année dernière à Marienbad)』1961

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ヌーヴェル・ヴァーグ主流のカイエ派に対し、左岸派を代表する、アラン・レネ(Alain Resnais)監督による作品。ヴェネツィアで金獅子賞。ちなみにカンヌ国際映画祭は、レネの左翼的な政治的見解を理由に、本作品の上映を拒否した。

登場人物はみな名が伏せられている。各々に何が起り、各々が何を覚えていて何を考えているのか明らかにはならない。過去と現在を行き来しながらストーリーは進む。「時間」と「記憶」が本作品のテーマと云えるだろう。

全編に渡り、パイプオルガン(最も古典的な楽器と云える)が無調音楽を奏でている。この古典とアバン・ギャルドのミスマッチが、何ともミステリアスな効果を生んでいるように感じた。美しいのだがかなり不安を煽る。

女優の名はデルフィーヌ・セイリグ(Delphine Seyrig)。彼女はジャック・ドゥミの『ロバと王女」にも出演していた。

二十四時間の情事(Hiroshima mon amour)』も近いうちに観よう。