Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

20220829日記

信仰とは人生の防波堤である。マストを折られた人間が平和に座礁していられるための。

ラ・ロシュフコー『寸鐵(The maxims and reflections)』1664

寸鐵...短くて人の胸をつく語句。 ラ・ロシュフコー公爵は17世紀フランスの軍人、政治家。策謀の貴族社会に於いてリシュリュー卿やマザラン卿と対立し、辛酸を嘗めた経験を持つ。そんな彼の遺した箴言集、すなわち本書は、人生の真理を道破するものとして、…

市川崑『細雪』1983

市川崑監督作。吉永小百合が雪子を演ずる。 女優陣が大変美しい。『細雪』はみたび映画化されているが、本作は筋書きも雰囲気も、最も原作に沿ったものになっているのではないか。幸子の夫である貞之助を、どうして女好きの遊び人に描いたのか、その意味は理…

市川崑『炎上』1958

『犬神家の一族』(1976)の市川崑監督。京都大映の制作。音楽は後にオペラ『金閣寺』を作曲する黛敏郎。 三島由紀夫の『金閣寺』を原作とする。題名が『炎上』、寺の名前が「驟閣寺」となっているのは、映像化にあたり京都仏教界の反対を受けたからだそう。境…

20220816日記

晴れ、沛然と降る夕立ちあり。変わらず暑い。山梨県立美術館まで出かけた(大変な遠出!)。ここはミレーはじめバルビゾン派のコレクションで有名である。17の頃か、NHKの特集で存在を知った。以来いつか訪ねてみたいと思っていた。「種蒔く人」が目玉であるが…

リラダン『アケディッセリル女王(Akëdysséril)』1885

ヴィリエによる中篇小説。初出は1885年La Revue contemporaine誌上。ヴィリエは「死」について生涯深い瞑想を続けており、その思考は彼の諸作品に反映されている。それは『アケディッセリル女王』に於ても例外ではなく、本作品で明らかにさるヴィリエの「自…

リラダン『アクセル(Axël)』1890 再読

余暇を利用してヴィリエ・ド・リラダンの『アクセル』を再読。ヴィリエの精神的な遺書とも呼べる本作品は、至高の理想主義に彩られ、至純の美に耀く。 ledilettante.hatenablog.com さる公爵家の最後の娘サラ・ド・モーペールは、年古る尼僧院にて、修道の誓…

リラダン『反抗(La Révolte)』1870

短い生涯のうち四年の間、おのが精神力を抑へつけてやつた妥協が、その精神力を弱めてしまつた!今更どうしやうもない!(...)試練は終つた。わたくしは敗れた。 リラダンによる三幕からなる戯曲。1868年、作者三十歳の時に創作されたと推定されている。1870…