Epistula ad mē

私の日記

川端康成『篝火』

 1924年、川端が25歳の年に書かれた小説。女給伊藤初代との初恋をテーマとした「ちよもの」と呼ばれる作品群のひとつ。『篝火』では岐阜を舞台に、加納の西方寺へ預けられたみち子を訪ね、婚約を結ぶまでが描かれる。

 孤独な人間の繊細さ。ふっと吹けば消えてしまいそうな。

 

そして、私は篝火をあかあかと抱いている。焔の映ったみち子の顔をちらちら見ている。こんなに美しい顔はみち子の一生に二度とあるまい。

 

2020.11.21日記

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 気候が良かったので嵯峨野の方へ紅葉狩りに行こうと思い立った。
 途中御室に寄る。この辺りは趣味の良い邸宅が多く風情がある。常盤まで歩き、そこからまた嵐電に乗って嵐山へ向かった。渡月橋中之島はつまらない。まったく商業的で騒々しい。僕が目指したのは法輪寺であった。
 法輪寺は良い。盛装をした子供たちがいるが七五三詣でだろうか。華やかで大変結構だと思う。僕は5年前、ある人に連添って此の場所を訪ねたことがあった。本堂へ続く階段を上がるとき、当時の自分と今の自分とは、いかに異なる状況に在るかを噛締めた。5年の星霜は残酷である。

三島が云う所の「純粋」

奔馬新潮文庫 p.151

 

 純粋とは、花のような観念、薄荷をよく利かした含嗽薬の味のような観念、やさしい母の胸にすがりつくような観念を、ただちに、血の観念、不正を薙ぎ倒す刀の観念、袈裟がけに斬り下げると同時に飛び散る血しぶきの観念、あるいは切腹の観念に結びつけるものだった。「花と散る」というときに、血みどろの屍体はたちまち匂いやかな桜の花に化した。純粋とは、正反対の観念のほしいままな転換だった。だから、純粋は詩なのである。

 

 

 

『勝手にしやがれ(À bout de souffle)』1959

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「ボギー…」

 ジャン=リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)監督作。ヌーヴェル・ヴァーグの訪れを印象付ける、個性的なカメラワークと編集技法を、ゴダールが初めて実践した長編映画

 

 

『スリ(Pickpocket)』1959

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 ロベール・ブレッソン(Robert Bresson)監督作。
 「仕事がなく貧しい自分には法を犯すことが許されている」と述べてスリを行う青年。極めて冷静に、彼の世界をそのままスクリーンに描き上げる。ブレッソンの独創性が光る作品。

 マリカ・グリーン(Marika Green)という人物が出演しているが、彼女はエヴァ・グリーンの伯母であるそう。ブレッソンに素人として起用され、そのまま映画界に残った。

 

2020.11.14日記

 心の晴れない日が続く。どうしようもない。

 

相伴(しょうばん) 正客の相手となり一緒に接待を受けること
まんじりともせず 少しも眠らないさま
棚卸し 人の欠点を言い立てること
内証 表向きにせず、内々にしておくこと
諒察 相手の事情を思いやること
侍史(じし) 手紙の脇付として記し、相手への敬意を表す語
帰心矢の如し 故郷にはやく帰りたいと思う気持
総べて すべて
無聊 退屈なこと
御令閨(ごれいけい) 他人の妻に対する敬称
腰元 侍女
創痍(そうい)を心に留める 精神的な痛手
余人は知らず 他人は知らないだろうが
久闊を叙する 無沙汰の挨拶をする
粗忽(そこつ) 軽率で不注意なこと
星霜(せいそう) ねんげつ
縒りを戻す(より)
憐愍 憐憫
妾宅(しょうたく) 妾を住まわせる家
因循姑息(いんじゅんこそく) 古いしきたりに囚われて改めようとしない態度
意見を徴する(ちょうする) 意見を伺う
花柳病(かりゅうびょう) 性病
先途(せんど) 度々、散々の意
虎の子 大切にして手放さないもの
欣快に堪えない(きんかい) 非常にうれしいこと
慚愧に堪えない 自分の行いについて恥じること
幸甚(こうじん)の至り この上もない幸せ


『男と女Ⅱ(Un homme et une femme, 20 ans déjà)』1986

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 クロード・ルルーシュ監督作。『男と女(un homme et une femme)から20年後という設定。別々の人生を歩んでいた男と女が再会する。前作の余韻を味わえ、また解説のような役割も果たす作品。

 今はプロデューサーを務めるアンヌが、ジャン=ルイとの記憶を映画にしたいと申し出る。再会によって甦る記憶と想い。

 前作のように洗練された「雰囲気」を愉しむものではない。台詞は多いし、ストーリーも複雑。でも趣旨が違うのだから、これらの点批判するべきものとは思わない。残念な点があるとするなら、構図の美しさに欠けていること。

『ドリーマーズ(The dreamers)』2003

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 ベルナルド・ベルトルッチ(Bernardo Bertolucci)監督作。シネマテーク・フランセーズで出会った、アメリカ人留学生とフランス人兄妹の話。
 「ラングロワ事件」で物語は始まる。「社会がスクリーンに流れ込んできた」という台詞は印象的。しかし彼らは運動に参加するのではなく3人だけの世界に閉じこもり、享楽に耽っていた。ある時まで。

 妹役を務めたエヴァ・グリーン(Eva Green)が若い。当時23歳だというのにかなりエロティックな役柄。彼女の方向性を決めたのがこの映画なのかも。

 他気付いたこととして、「大人は判ってくれない」の音楽がモチーフとして使われていた。

 

『ふたりのヌーヴェルヴァーグ(Deux de la Vague)』2010

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 エマニュエル・ローラン(Emmanuel Laurent)監督のドキュメンタリー。
 ヌーヴェルヴァーグを率いた2人の監督、トリュフォーゴダールが出会い、共闘し、そして訣別するまでの仔細。