Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ワーグナー『トリスタンとイゾルデ(Tristan und Isolde)』1865_愛と死に就いての覚書

www.youtube.com 新国立劇場の最上席での観劇。本歌劇の半音階的な重音進行や不協和音の構成は、後期ドイツロマン派を予感させる。内面的響きが特徴である。 前奏曲、「憧れの動機」に始まり、そこからとめどなく流れる美の奔流を受けて、私は忽ち夢うつつ。…

カトリック聖歌集105番『来ませ救ひ主』

Lentも第6週を迎へてゐるが、本日紹介するのはAdventに歌はれるホ短調の聖歌。ヨハン・マッテゾンはこの調に就いて沈思的、悲しみ、痛みと述べてゐるが、この聖歌には相応しい調である。 この聖歌に歌はれてゐるのは、人類の大いなる罪への悔恨と、キリスト…

長谷川潔とマニエール・ノワールに就いて

晴れ、身に堪ふる寒さ。各大学は卒業式を迎へてゐるやうで、昨日などは学習院門前で愛子内親王殿下を御見かけした。祖母に話してやらう、きつと悦ぶだらう。 扨て、眩しい若者達を余所目に、私は休暇を利用して群馬県立近代美術館を訪ふた。私はこの美術館を…

クリストフ・オノレ『Winter boy(Le Lycéen)』2022

クリストフ・オノレ監督作。新文芸坐で鑑賞。オノレは指揮者の大野和士氏と交遊があるやうで、彼の依頼により幾つかオペラ演出も手掛けてゐる。 During the play, I wondered to get up and walk away several times. 同性愛描写がきつい、宗教を悪し様に描…

20240317日記

晴れ、四旬節第5主日。目白聖公会の教会堂をお借りして、跪き、天使祝詞三環を捧げ奉る。本日彌撒に與つては居ないが、朗読箇所はヨハネ傳第12章だと思はれる。即ち、 一粒の麥、地に落ちて死なずば、唯一つにて在らん、もし死なば、多くの果を結ぶべし(ヨハ…

トリエント・ミサに於る告白の祈り(Confiteor)_羅和対訳(Latin to Japanese)

トリエント・ミサとは、トリエント公会議の後、1570年に聖ピオ五世が発布し、福者ヨハネ二十三世があらためて発布したローマ・ミサ典礼書に則つたミサの、便宜的な呼称である。 これに対し、第二バチカン公会議の精神に基づき、通例各地のvernacularで捧げら…

中村義洋『ゴールデンスランバー』2010_竹内結子に就ての覚書

『ゴールデンスランバー』といふ映画を見た。コメディ調で趣味では無いと思つたが、竹内結子が出演してゐるとの事で。竹内結子ファンの方の推薦。 私は小学生の頃から、好きな女優を問はれると必ず竹内結子と応へて来た。彼女の追つかけではない。出演作品も…

リヒャルト・シュトラウス『ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 』1888

www.youtube.com リヒャルト・シュトラウスが遺した唯一のヴィオロンソナタ。3月になると思ひ出す。或る人が好んで弾いてゐたのだ。彼女はヴィオロン奏者であつた。彼女は深碧色のドレスでステージに立ち、いつも不機嫌さうに演奏するのだ。私の前でバッハを…