Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

20201231日記

琵琶湖歌劇場にジルヴェスターコンサートを観に行った。 レペトワは以下の通り。 ・チャイコフスキー 『エフゲニー・オネーギン』からポロネーズ ヴァイオリン協奏曲ニ長調 バレエ組曲「くるみ割り人形」・ビゼー 『カルメン』からハバネラ含む3曲・ベッリー…

20201230日記

雪が降ってきた。明日のコンサート行けるかしら。久し振りのことで愉しみにしている。今年1月に京都市少年合唱団の公演を観に行って以来。レパートリーは大して好みではないが、S席を取れたことだし、生の音楽を目一杯身体に浴びせたい。

トリュフォー『終電車(Le dernier metro)』1980

円熟のフランソワ・トリュフォー(François Truffaut)監督。亡くなる4年前の作品。セザール賞を総なめにした。占領下のパリ。モンマルトル劇場には「南米に逃れた」とされているユダヤの劇場支配人が隠れている。彼はカトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)…

ロマネク『私を離さないで(Never let me go)』2010

マーク・ロマネク(Mark Romanek)監督作。カズオ・イシグロの同名小説を原作とする。舞台は並行世界の英国。臓器提供(National Doner Programme)のために育てられた子供たちが、恋をし、自身の役目を果たすまで(completion)の話。人々の倫理観に訴える、ベル…

ルコント『橋の上の娘(La fille sur le pont)』1999

パトリス・ルコント監督作のモノクローム映画。テイストとしてはコメディになるのか。それにしては始まりが深刻過ぎるが。俳優もダニエル・オートゥイユ(Daniel Auteuil)にヴァネッサ・パラディ(Vanessa Paradis)と豪華。総合してアメリカ映画。

アイヴォリー『日の名残り(The remains of the day)』1993

『眺めのいい部屋(A room with a view)』のジェームズ・アイヴォリー監督作。云わずと知れたカズオ・イシグロの同名小説を映画化したもの。過去を抱える執事スティーヴンスが“Un reliable narrator”をこなす。技巧に凝った脚本だ。

リヴェット『ランジェ公爵夫人(Ne touchez pas la hache)』2007

ジャック・リヴェット監督。原作は1834年のバルザックの小説『ランジェ公爵夫人(La Duchesse de Langeais)』。“Ne touchez pas la hache”は「斧に触れるな」という意味。見応えのある映画だ。リヴェットお得意のコスチュームプレイが活きている。

20201224日記

この世界にいる限り、幸せとは相対的なものにしか成り得ないのだと思う。

パトリス・ルコント『暮れ逢い(une promesse)』2013

パトリス・ルコント(Patrice Leconte)監督作。脚本はオーストリア=ハンガリーの作家シュテファン・ツヴァイク(Stefan Zweig)の小説 “Reise in die Vergangenheit(過去への旅路)“。 製鉄会社オーナーの秘書となった青年。その手腕で信用を勝ち得た彼が恋した…

キレヴェレ『聖少女アンナ(Un poison violent)』2010

カテル・キレヴェレ(Katell Quillévéré)監督作。堅信式を迎える娘とその家族の話。 祖父は病気で床に臥せており死が近い。両親は離婚の危機にある。自身は幼馴染の少年と関係を結んだ。この状況下堅信を受けることに戸惑う彼女を描く。 フランス映画だがイン…

谷崎潤一郎『鍵』1956

互いの日記を通じた男と妻の心理戦。 性の慾求に操られるコマと化す2人。貞淑な妻のファムファタルへの変貌。男は破滅に追いやられる。『細雪』とは違う谷崎を(むしろこちらが彼の本分だが)味わえる作品。彼は本当にマゾキストだな。

ルコント『髪結いの亭主(Le Mari de la coiffeuse)』1990

パトリス・ルコント(Patrice Leconte)監督作。ジャン・ロシュフォール主演。髪結いの亭主になることを夢みていたアントワーヌ少年。夢を叶えた彼は妻マチルドとの官能に耽る。幸福を喪う恐怖。

アンダーソン『ファントム・スレッド(Phantom thread)』2017

ポール・トーマス・アンダーソン(Paul Thomas Anderson)監督作。彼はカンヌ、ヴェネツィア、ベルリンで賞を取ったらしいが随分平凡だと思う。社会に媚びて何が創作か。ブラームスのワルツop.39-11が使われている。幸運だ。2作品続けてブラームスを聴けるとは…

ルコント『仕立て屋の恋(Monsieur Hire)』1989

パトリス・ルコント(Patrice Leconte)監督作。ミシェル・ブラン(Michel Blanc)が演じる、嫌われ者の仕立て屋の恋を描く。原作はジョルジュ・シムノンの同名小説Les Fiançailles de Mr Hire。救われない話だが僕は好きだ。やはり都合の良い女性なんて存在しな…

20201220日記

小説を読始めた。谷崎の『鍵』。すぐ読終るだろう。久しく無為な生活を送っている。では有為な生活とは何かと尋ねられても答えに困るのであるが、ともかくも何ら充実しているとは思えない。小説を読むし、映画を観に行くし、音楽は毎日のように鑑賞している…

ブレッソン『抵抗(Un condamné à mort s'est échappé ou le vent souffle où il veut)』1956

ロベール・ブレッソン(Robert Bresson)監督作。“Un condamné à mort s'est échappé ou le vent souffle où il veut”訳すと『死刑囚は逃げた、あるいは風は吹きたい所で吹く』。「あるいは」で2つの主題を掲げるのは、昔のフランス小説などによくみられる例。…

タルコフスキー『僕の村は戦場だった(Ива́ново де́тство)』1962

アンドレイ・タルコフスキー監督の2作目。1962年の金獅子賞。 "Иваново детствo"は「イヴァンの少年時代」の意。脚本はソビエトの作家ウラジミール・ボゴモーロフの『イヴァン』を下敷きにしている。話の展開とともに少年が何者なのか明らかになるというミス…

タルコフスキー『ローラーとバイオリン(Каток и скрипка)』1960

卒業制作として作られた、アンドレイ・タルコフスキーの最初期の短編映画。スチームローラーに乗る労働者の青年セルゲイと音楽学校に通う少年サーシャとの交流が描かれる。 無調性の20世紀音楽と、水や鏡を用いた抽象的な表現とが相俟って不穏な印象を与えら…

フランシス・レイ『今日は君が(Aujourd'hui, c'est toi)』

~ AUJOURD`HUI C`EST TOI ~ Francis Lai 映画『男と女(un homme et une femme)』の挿入歌。フランシス・レイ(Franis Lai)の作曲。彼はルルーシュと組んで多くの映画音楽を遺した。洒脱な都会的メロディー。 Toi et moi,君と僕、 nous vivons dans la ville.…

ゴダール『気狂いピエロ(Pierrot Le Fou)』1965

ジャン=リュック・ゴダール監督作。ゴダール作品にお馴染みのアンナ・カリーナ、ジャン=ポール・ベルモンドが主演。支離滅裂な内容であるが、それでも観ていられるのは不思議だと思う。作中初め、アメリカのフィルムディレクターなる人物が「映画とは戦場の…

シャマラン『翼のない天使(wide awake)』1998

『シックスセンス(the six senses)』のナイト・シャマラン(M. Night Shyamalan)監督作。愛する祖父を喪った子供の話。主題は良いかもしれないが、監督の力量がなさすぎる。子供に不自然な演技をさせて。

フレミング『ジャンヌ・ダーク(Joan of Arc)』1948

『風と共に去りぬ』のヴィクター・フレミング(Victor Fleming)監督作。ジャンヌ・ダルクの生涯を描く。イングリッド・バーグマン(Ingrid Bergman)がジャンヌを演じる。多額の制作費を投じた豪華な作品であるが、商業的には成功しなかったらしい。まぁ崇高な…

ルルーシュ『男と女 人生最良の日々(Les plus belles années d'une vie)』2019

クロード・ルルーシュ監督作。『男と女』から53年、アヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャンが三度あの2人を演じる。「過去の記憶」と、「ジャン=ルイの夢」と、「現在の話」が交差して時系列が複雑なのは、弱ったジャン=ルイの記憶を表現している…

20201209日記

ベッリーニの『ノルマ』と『清教徒』の前奏曲を聴く。ベルカント・オペラの虜になっていた頃を思出す。その後でグノーの『ロメオとジュリエット』を鑑賞。伊、仏オペラを続けて聴くと、両者の違いが際立つ。前者は喜怒哀楽の感情が私を浸蝕して一体となる感…

中江兆民「外交論」1888

1888年8月26日と28日『東雲新聞』に寄稿。 日本の外交方針として、ロシア帝国、英国、ドイツ帝国、アメリカいずれかの強国との軍事同盟を目指すのではなく、パワーポリティクスから距離を置いた「道義外交論」を展開する。兆民曰く「貧弱の国を以て他の強大…

中江兆民「土著兵論」1888

「土著兵論(どちゃくへいろん)」と称された民兵制の導入を説く議論。1888年5月16日から18日に渡り自由民権派の『東雲新聞』上に掲載された。兆民が常日頃から主張していた「平民主義(人民の権利の平等)」と「経済主義(経済合理性の追求)」。これらに軍制を合…

中江兆民「論外交(外交を論ず)」1882

兆民は朝鮮に於ける壬午軍乱(1882年7月)に触発され「論外交」を書く。本文は1882年8月12日、15日、17日の3日間に渡り、自由党の党機関紙『自由新聞』上に掲載。明治政府の「富国強兵」策の矛盾を「経済」と「道徳」の観点から指摘し、小国が独立を保つ術とし…

20201208日記

東山へ紅葉のライトアップを観に行った。髙臺寺とその塔頭圓徳院へ。気分が悪い。映画を観に行けばよかった。

ラヴェル『ハイドンの名によるメヌエット』1909

www.youtube.comモーリス・ラヴェル(Maurice Ravel)が1909年に作曲したピアノのためのメヌエット。ハイドン没後100年に寄せられた2分足らずの小品。曲の冒頭にある「シラレレソ」の音が「ハイドン」を意味している。

20201201日記

紅葉を観に鹿ケ谷辺りを廻った。写真は法然院の境内。南禅寺から鹿ケ谷通を上がる。途中冷泉通に入り哲学の道へ出た。安楽寺と法然院に寄る。静かで落ち着く。今日の散歩は成功だった。すぅっと心が透通った気持ちがして、活力が湧いた。柄にもなく和歌を学…