Mon Cœur Mis à Nu

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

フェリーニ『甘い生活(La dolce vita)』1959

フェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)監督作。退廃的で不毛な生活を送る現代人が描かれる。1960年のパルム・ドール。 作中では「宗教」や「家庭」など様々なモチーフによって「道徳」が示される。しかしそれら道徳は尽く自壊し、主人公マルチェロは失望…

シューベルト『アルペジョーネソナタ イ短調 D.821』1824

www.youtube.com 「アルペジョーネ」って何だと思われるだろうが、ある弦楽器の呼称である。弦が6本あり、音域が広い。19世紀初めに発明されたが、広まることはなかった。故にこのソナタの演奏に際しては、ヴィオラかチェロが代用される。

20201126日記

どうも僕は旅行が嫌いらしい。帰心矢の如し。はやく京都へ帰ろう。 衣桁(いこう) 着物を掛ておく家具感情の飽満 満足していること

川端康成『篝火』1924

1924年、川端が25歳の年に書かれた小説。女給伊藤初代との初恋をテーマとした「ちよもの」と呼ばれる作品群のひとつ。『篝火』では岐阜を舞台に、加納の西方寺へ預けられたみち子を訪ね、婚約を結ぶまでが描かれる。孤独な人間の繊細さ。ふっと吹けば消えて…

20201121日記

天気が良かったので嵯峨野の方へ紅葉狩りに行こうと思い立った。途中御室に寄る。この辺りは趣味の良い邸宅が多く風情がある。常盤まで歩き、そこからまた嵐電に乗って嵐山へ向う。渡月橋や中之島はつまらない。騒々しい。僕が目指したのは法輪寺である。法…

三島由紀夫「純粋」について

『奔馬』新潮文庫 p.151 純粋とは、花のような観念、薄荷をよく利かした含嗽薬の味のような観念、やさしい母の胸にすがりつくような観念を、ただちに、血の観念、不正を薙ぎ倒す刀の観念、袈裟がけに斬り下げると同時に飛び散る血しぶきの観念、あるいは切腹…

ゴダール『勝手にしやがれ(À bout de souffle)』1959

「ボギー…」 ジャン=リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)監督作。ヌーヴェル・ヴァーグの訪れを印象付ける、個性的なカメラワークと編集技法を、ゴダールが初めて実践した長編映画。

ブレッソン『スリ(Pickpocket)』1959

ロベール・ブレッソン(Robert Bresson)監督作。「仕事がなく貧しい自分には法を犯すことが許されている」と述べてスリを行う青年。極めて冷静に、彼の世界をそのままスクリーンに描き上げる。ブレッソンの独創性が光る作品。 マリカ・グリーン(Marika Green)…

20201114日記

心の晴れない日が続く。どうしようもない。 相伴(しょうばん) 正客の相手となり一緒に接待を受けることまんじりともせず 少しも眠らないさま棚卸し 人の欠点を言い立てること内証 表向きにせず、内々にしておくこと諒察 相手の事情を思いやること侍史(じし) …

ルルーシュ『男と女Ⅱ(Un homme et une femme, 20 ans déjà)』1986

クロード・ルルーシュ監督作。『男と女(un homme et une femme)から20年後という設定。別々の人生を歩んでいた男と女が再会する。前作の余韻を味わえ、また解説のような役割も果たす作品。 今はプロデューサーを務めるアンヌが、ジャン=ルイとの記憶を映画に…

ベルトルッチ『ドリーマーズ(The dreamers)』2003

ベルナルド・ベルトルッチ(Bernardo Bertolucci)監督作。シネマテーク・フランセーズで出会った、アメリカ人留学生とフランス人兄妹の話。「ラングロワ事件」で物語は始まる。「社会がスクリーンに流れ込んできた」という台詞は印象的。しかし彼らは運動に参…

ローラン『ふたりのヌーヴェルヴァーグ(Deux de la Vague)』2010

エマニュエル・ローラン(Emmanuel Laurent)監督のドキュメンタリー。ヌーヴェルヴァーグを率いた2人の監督、トリュフォーとゴダールが出会い、共闘し、そして訣別するまでの仔細。

ドゥミ『モン・パリ(L'événement le plus important depuis que l'homme a marché sur la Lune)』1973

ジャック・ドゥミ監督作。長い本題は「人類が月面歩いて以来の重大事件」の意。突然妊娠した男性。社会の好奇の目に晒されながら葛藤する彼とフィアンセを描く。男性の妊娠により、社会の何が変わり、何が変わらないのか。コメディのようで、「男女同権」と…

ドゥミ『ロシュフォールの恋人たち(Les Demoiselles de Rochefort)』1967

ジャック・ドゥミ監督作。理想の恋人を探す男と女の物語。 同監督作『シェルブールの雨傘』で名声を高めたカトリーヌ・ドヌーヴとその姉フランソワーズ・ドルレアックが双子役で主演を務める。なんとジーン・ケリーも出演。そして音楽をミシェル・ルグランが…

ヴィスコンティ『夏の嵐(Senso)』1954

ルキノ・ヴィスコンティ(Luchino Visconti)監督作。リソルジメント期のイタリアを舞台とする。ファーリー・グレンジャー(Farley Granger)演じる天上の美を誇る魔性の男。彼の魅力に憑りつかれた伯爵夫人が身を堕とす。「オム・ファタル(homme fatal)」とでも…

ヴァン・サント『小説家を見つけたら(Finding Forrester)』2000

ガス・ヴァン・サント監督作。彼はホモ・セクシュアル。黒人を誉め煽てる月並みなリベラル映画。似たような話ばかり作って飽きないのだろうか。

島耕二『細雪』1959

京都のuplinkが「京マチ子映画祭」を催している。今日観たのは島耕二が監督を務めた1959年の『細雪』だが、他にも『痴人の愛』や『黒蜥蜴』を観に行く予定。 原作のメロドラマチックな場面だけを努めて借用したような作品であった。ちょっとの仕草や変化から…

20201105日記

教会の敷地で遊ぶ子供たち。彼らの声を聴く幸せ。 あんじょう 具合よく、うまくと胸を突く びっくりする就中(なかんずく) 特に彳む(たたずむ)世故に長ける 世情によく通じているスレート 屋根材の1種義理一遍 世間体を飾るために形式的に物事をすること落魄…

ブラームス『ヴィオラ・ソナタop.120-2』1894

www.youtube.com 創作意欲も衰えがちであった61歳のブラームスの作品。彼が書いた最後のソナタでもある。第二楽章アレグロ・アパッショナートが良い。もともとクラリネットのために書かれたが、彼自身の手でヴィオラ及びヴァイオリン用に編曲された。ある意…

リヒャルト・シュトラウス『交響詩ドン・キホーテop.35』

www.youtube.com R.シュトラウスが書いた7つ交響詩のうちの6作目、1897年の作品。チェロが独奏で表現するドン・キホーテの悲痛な最後が良い。

リヒャルト・シュトラウス『ピアノソナタ ロ短調op.5』

www.youtube.com 『英雄の生涯』のCDを手にしたことから、R.シュトラウスを掘り下げたいと思って、この頃は色々聴いている。今日紹介するのはシュトラウスが17歳の時に作曲したピアノソナタ。ベートーベンの交響曲5番のモチーフ(タタタターン)が散りばめられ…

アルベール・カミュ『転落(La chute)』1956

全編を通してクラマンスと名乗る男が聴き手に対し「告白」をする形。自身が「二重性」ある人生を歩んできたこと。自身が持つ傲慢さ、偽善性、孤独を独白する。しかしそれは「懺悔」とは異なる。「だがあなただってそうでしょう」と言わんばかりの、云わば自…