Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

アンジェイ・ワイダ『ダントン(Danton)』1983

f:id:ledilettante:20220324003235p:plain

アンジェイ・ワイダ(Andrzej Wajda)監督によるフランス・ポーランド合作の伝記映画。時は大革命期、ロベスピエールによる恐怖政治の最中、ダントン処刑までの数週間を描く。配給はフランスのゴーモン社。セザール賞を受賞。

なんとも特徴的なのは、演者たちの蒼白な舞台化粧、薬品でも点眼したのかと思う空ろな眼、おどろおどろしい現代音楽。大革命のヒステリックな一面を強調したいようだ。

演者について、ダントンは男前すぎるがロベスピエールは似ている。ヴォイチェフ・プショニアク(Wojciech Pszoniak)というポーランドの舞台俳優が演じているのだが、ロベスピエールの実直(愚直)さを演じ切っている。彼の身長1.62mだそうで、その点もモデルに忠実。ちなみにだが、ダントン派はフランス人が演じていて、ジャコバン派ポーランド人が演じている。そのせいでジャコバン派はみな吹替対応。違和感があった。

もう1点映画上映に際してのエピソード。この作品は完成の際にフランス大統領府で上映されたそう。ミッテランは1789年の大革命200周年を記念するような作品を期待していた訳であるが、蓋を開けてみればシニカルな、身も凍えるような話だ。上映会の空気は最悪だったろう。

 

serviette テーブルナプキン
徴募 予備役を招集すること
徽章(きしょう) 身分を示すために衣服に付ける印
古色蒼然 古びたさま
御宇 その天皇が天下をお治めになった期間
背の君 夫
ささめごと 内緒話、特に男女間の恋の語らいをいう
rosin ロジン、松脂