Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

プーランク『カルメル会修道女の対話(Dialogues des carmélites)』1957  

本ブログのテーマは副題として書いてある通り「美というものは、芸術と人間の霊魂の問題である」、即ち「芸術と信仰」である。だがこの頃は宗教色が強すぎると思っている。復活祭で一区切りをつけたい。 さて本日、四旬節第5主日の福音朗読箇所は「ラザロの…

遠藤周作『イエスの生涯』1973

四旬節には、イエズスやカトリックに関連する本、映画、音楽を味わう様にしている。本日は遠藤周作の『イエスの生涯』を再読。 本書は深いレアリスムに根差したイエズス伝。「神は愛」。遠藤はこの至純至厳の本質から外るる事なく、イエズスの生涯に「現代的…

20230323日記

雨。プーランクの『カルメル会修道女の対話』と云うオペラを観てみたい。真砂中央図書館にCDはあるらしい。次の主日、御ミサの後にでも訪ねてみる事にする。 桜を観に京都へ行く。近所の神田川沿いの桜が見頃を迎えていたものだから、急いで京に飛んだのだが…

溝口健二『噂の女』1954

溝口健二監督作。田中絹代、久我美子の出演。 ただのメロドラマと思わせて、やはりそれだけでは終わらない。男に利用される女、女の生涯を扱ったら一流の溝口の手腕だ。 北白川に家をみにゆく描写があるが、そこは大文字山を望む、本当の北白川でのロケ。女…

アラン・カヴァリエ『テレーズ(Thérèse)』1986

アラン・カヴァリエ監督作。リジューの聖テレーズ(日本では「幼なきイエスの聖テレジア」として知られている)の生涯を、彼女自身の自伝"Histoire d'une âme"に基づき、映像化した作品。1986年カンヌの審査員賞、1987年セザール最優秀作品賞。 彼女は幼少の頃…

ベッソン『ニキータ(Nikita)』1990

リュック・ベッソン監督作。 アンヌ・パリロー演じるニキータのショートヘアに「1990年」を感ずる。ウェールズ公妃や、『銀河英雄伝説』のマリーンドルフ嬢、そしてこれは伝わらぬだろうが、往年のキャスター・べヴェル・メンソールのcmに出ていた女優が脳裡…

ヴェンダース『パリ、テキサス(Paris,Texas)』1984

ヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders)監督作。或る女性に薦められ鑑賞。云わゆるロードムービーで、1984年にパルム・ドールを受賞。 ナターシャ・キンスキーの代表作。画像は「或る男が、覗き部屋のマジックミラー越しに、別れた妻と再会している」場面。 ヴェ…

20230320日記

晴れ。知り合い伝いに、上京の本満寺の枝垂れ桜が見頃だと聞く。 先日、祖父母を訪ねた。二人とも齢九拾を疾うに数え、祖母はまだ足腰も丈夫で一日に1~2kmの散歩に出掛けると云うが、祖父は寝たきり、認知能力も相当衰えている。週に3日は看護師、1日はお医…

20230316日記

晴れ、暖かい。近所のソメイヨシノの花が開いていた。桜とはこれ程早い時期に咲くものであったか。 本日はサントリーホールにマーラーの第2番を聴きに出かけた。第4楽章独唱のアルトが上手で聴き惚れた。他は可もなく不可もなくと云った塩梅であった。この頃…

ネルヴァル『シルヴィ(Sylvie)』1853

幻影は一つ一つ落ちて行つた、果實の皮のやうに。そして果實とは、それは經驗と云ふものである。その味は苦い。然しそこには人を堅固にする苛烈なものがある。 ジェラール・ド・ネルヴァルによる自伝的小説。幼少の砌、イル・ド・フランスの古色蒼然たるヴァ…

リラダン「ソレームの會見(Une entrevue à Solesmes)」『ル・フィガロ(Le Figaro)』1883

J’ai combattu le bon combat. Saint Paul. 1883年3月7日に没したフランスのジャーナリスト、ルイ・ヴイヨ(Louis Veuillot)を悼む趣旨で、4月19日付のル・フィガロ誌上に発表された記事。その後『奇談集(Histoires insolites)』に短篇小説として所収。 短篇…