Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

フランクル『夜と霧(Ein Psychologe erlebt das Konzentrationslager)』1946

死に至る病とは絶望のことである キェルケゴール 著者ヴィクトール・フランクルは、ホロコーストを生き延びたオーストリアの心理学者。本書は、強制収容所に於いて限界状況にある人間の姿を、心理学的に記録したものである。人間はいと高き處に近付けるとい…

ウィルコックス『特殊工作員オデット(Odette)』1950

ハーバート・ウィルコックス監督作。アンナ・ニーグル主演。第二次世界大戦時、英国のエージェントとして占領下フランスで活躍したオデット・サンソムの実話に基づく作品。3人の子供を持つ「普通の」夫人が、いかに勇敢に戦争を闘ったか、という事が記録され…

20230221日記

明日は灰の水曜日であり、カトリックの暦は四旬節に入る。出社日ではあるが、明朝7時のミサに与らんと思う。この様に浮ついた気持で、聖週間を準備する資格などないから。

ワーグナー「ヴェーヌス讃歌(Dir, Göttin der Liebe, soll mein Lied ertönen!)」『タンホイザー』第二幕より 対訳

www.youtube.com タンホイザーは童貞達の面前で淫蕩な歌をうたい城を追い出された。 Dir, Göttin der Liebe, soll mein Lied ertönen!愛なる女神!汝に捧げん我が歌をGesungen laut sei jetzt dein Preis von mir!今高らかに汝を称へさせ給へDein süsser Rei…

リラダン『ヴェラ(Véra)』1874

ダートル伯爵は鍾愛の妻ヴェラの死を全智にかけて否定し、全く妻の死を意識せざる境地に生活する。神秘的な夢に身を捧げる彼の強い意志は、夫人をして常世より立戻らせた。だが彼が妻の死を自覚した刹那、あなやすべての幻影は空中に紛れ、姿を隠してしまっ…

リラダン「回想(Souvenir)」『ルヴュー・ワグネリエンヌ(La Revue wagnérienne)』1887

ヴィリエ・ド・リラダンは1861年3月『タンホイザー』のパリ初演を見て感嘆したと書き残している。また同年5月には、ボードレールの仲介によりリヒャルト・ワーグナー(当時50歳)の知己を得た。ヴィリエはワーグナーを深く畏敬し、又作曲家もこの若き天才を愛…

ワーグナー『タンホイザー(Tannhäuser)』1845

誉むべきかな、稀世の大芸術家リヒャルト・ワーグナー。 私はオペラのはじまりと偕に倏忽として地上から攫われた。斯の至高の音楽が続く限り、舞台上の幻想こそが実在で、それ以外の全ては非存在である。私は斯く確信させられたのだ。それは引力の束縛から解…

ボードレール「リヒャルト・ワーグナーと『タンホイザー』のパリ公演(Richard Wagner et ≪Tannhäuser≫ à Paris)」1861

1861年皇帝ナポレオン三世の勅命により『タンホイザー』のパリ初演は実現した。しかしボードレールによれば、『タンホイザー』は「聴かれさへしなかつた」。大衆とジャーナリスムの心無い作品非難に対し、ボードレールは雄勁なワーグナー擁護論を張った。 ボ…

20230203日記

紅茶届く。ルフナ・ルンビニのFBOPとヌワラエリヤ・ナットボーンなる茶園のOP。後者は店主のセレクトだが、なかなかどうして、上等な葉を送ってくれたものだ。ヌワラエリヤ特有の薄い金色の水色。キャンディやディンブラとは一線を画する、通好みの芳醇さ。 …

ボーヴォワ『神々と男たち(Des hommes et des dieux)』2010

グザヴィエ・ボーヴォワ監督作。1996年のアルジェ、「ティビリヌの修道士殺害事件」を題材とする。テロに巻込まれ殉死する未来を覚悟して修道院に留まるのか、或いは去るのか。修道士たちが決断に至る過程を描く。カンヌでグランプリを受賞。 殉教した7名の…