Films/Dramas
クリストファー・ハンプトン監督作、Progressiveな映画。ブルームズベリー・グループの作家、リットン・ストレッチーとその恋人(かう呼んで差し支へないと信ずる)、エマ・トンプソン演ずるドーラ・キャリントン、並びに周辺人物との関係を描く。どうしたら彼…
ロジャー・ミッシェル監督作。『モーリス』のヒュー・グラントが出演してゐる、当時39歳。かういふフィーリング・グッドな映画も偶には良い。斯様なものを積極的に取り入れた方が、人は素直なままで倖せになれるのだと、分かつてはゐるのだが。 ウィリアムと…
アン・リー監督作。ジェイン・オースティン『分別と多感』(1811)の映像化作品。『ハワーズ・エンド』のエマ・トンプソン、ヒュー・グラントらが出演。英国式のコスチューム・ドラマの名作を観たければ、エマ・トンプソンの出演作品一覧にあたれば良いと思は…
クリストフ・オノレ監督作。新文芸坐で鑑賞。オノレは指揮者の大野和士氏と交遊があるやうで、彼の依頼により幾つかオペラ演出も手掛けてゐる。 During the play, I wondered to get up and walk away several times. 同性愛描写がきつい、宗教を悪し様に描…
『ゴールデンスランバー』といふ映画を見た。コメディ調で趣味では無いと思つたが、竹内結子が出演してゐるとの事で。竹内結子ファンの方の推薦。 私は小学生の頃から、好きな女優を問はれると必ず竹内結子と応へて来た。彼女の追つかけではない。出演作品も…
晴れ。銀座三越で買ひ物中、大学時代の友人2人から電話、新橋にゐるから飲まうと。休日の新橋は白けてゐるので、新宿に移動し、バガボンドでグラスを傾ける。いつもこの店だ、この店が無ければ私はどうなるのか。 新文芸坐でヴィム・ヴェンダース特集があつ…
藝術家は美に對する精妙な感性があればこそ藝術家なのだが、この感性には同時にまた、あらゆる醜あらゆる不均衡に對する精妙な感性が含まれてゐる。詩人は不正のないところに決して不正を見ないが、俗眼には何も見えぬところに屡ゝ不正を視る。詩人の過敏と…
晴れ、喜びの主日。入祭唱には『久しく待ちにし』が歌われた事だろう、欠席したから真偽は判らぬが。行きつけの仏蘭西料理店で食事。シェフとマダムに年の瀬の挨拶を済せた後、木枯らしが散した枯葉の上を逍遥し乍ら、来週に迫った羇旅の事を考えていた。旅…
B級映画の名作、ファンは根強いと聞く。脚本、映像、衣装、家具調度すべてが浅薄低劣なのだが、それが逆に良いらしい。『シベリア超特急』略して"シベ超"みたいなものだろう。 対照的に、クリストファー・プラマーを咬ませ犬に起用するという、不思議な奢侈。
見了えた後に良かったと感じても、二度と見直す事のない映画がある一方で、ふとした時に(それは大抵さよ更ける頃の衝動だが)、何度も見直してしまう映画がある。 私が後者に挙げるのは、例えば『男と女(un homme et une femme)』、『鬼火(Le Feu follet)』、…
イタリアとソ連の合作映画。セルゲイ・ボンダルチュク監督作。皇帝ナポレオンとウェリントン公爵、両者の司令官としての矜持が描かれる。 ソ連軍の協力の下、恐らく何千何万というエキストラを使って撮影した合戦のシーンは流石に見応えがある。CG頼りのお粗…
先日公開のリドリー・スコット『ナポレオン』を池袋東宝で鑑賞。全篇英語故に"Long Live the Republic!"や、"Long Live the Emperor!"と云う、まず英語では聞かない台詞が面白い。 リドリー・スコットは『決闘者』の頃から何も変わらない。彼の粘着質・怪奇…
公開中のジブリ映画『君たちはどう生きるか』を劇場で鑑賞。吉野源三郎の同名小説からの類推で、リアリスムに基いた作品だと勝手に想像してゐた。記録を残す迄もないと思つたが、一応。 始まりは或る意味「期待通り」だつた。堀辰雄的な世界、即ち格子窓とエ…
私にとつてミュージカル映画と云へば『マイ・フェア・レディ』である。"Wouldn't it lovely"、"On the street where you live"。日常でつひつひ口遊んでしまふ、キャッチ―な旋律が澤山。 How do you do. 若き頃のジェレミー・ブレット。彼は1933年生れだから…
マイケル・ホフマン監督作。レフ・トルストイの晩年、妻ソフィアとの夫婦関係を描く。ヘレン・ミレンが綺麗。トルストイを演じたのは『サウンド・オブ・ミュージック』のクリストファー・プラマー、もう見た目では彼と分らない。 私の心に響かなかつた。重厚…
花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに 外は変わらず暑い。主日のミサをサボタージュ、音楽を喪った教会は私を惹付けない。昼餉はいつものフランス料理屋で。クリュディテが美味しい。マダムと夏のjauntについて会話してすぐ帰宅…
ポーランドを代表する芸術家の半生を描く。『アマデウス』と同じノリで鑑賞をしたのだが酷い映画だった。ショパンの美くしい音楽を用いている筈なのに映画は美くしくない。それは知性、品格、歴史へのリスペクトなど、芸術を構成する一切のものが缺けている…
特に、天才を排す—近代の標語 ヴィリエ・ド・リラダンに『二人の占師』という小篇がある。世に出たければ凡庸であれというマクシムを遺した皮肉な作品なのだが、『アマデウス』の鑑賞が、私にそれを思い出させた。畢竟天才の行き着く先はいつの時代も共同墓…
オリヴァー・ハーマナス(Oliver Hermanus)監督、カズオ・イシグロの脚本による黒澤明監督『生きる』1952のリメイク。 ledilettante.hatenablog.com 1953年の英国。London County Hallに務める定年間際の凡庸な役人。生気の無い姿はMr. Zombieと渾名さる程。…
ランダル・ウォレス監督作。ルイ13世~14世時代の鉄仮面伝説と三銃士物語(Les Trois Mousquetaires)に着想を得た本作。ジョン・マルコヴィッチ、ジェラール・ドパルデュー、『ミッション』のジェレミー・アイアンズ。矢鱈に俳優が豪華だが、節操無く、不快な…
ジャン=ポール・ラプノー監督作。ラプノーは寡作だが、ルイ・マル作品の助監督や脚本を務めており、その実力は折り紙付き。本作は1991年のセザール賞を獲得。シラノをジェラール・ドパルデュー、ロクサーヌをアンヌ・プロシェが演じる。コメディ・フランセー…
モーリス・ピアラ監督作。1987年のパルム・ドール、フランス人監督の作品に同賞の與へらるは、1966年クロード・ルルーシュ『男と女』以来、實に21年ぶりの事であった。 『ダントン』、『終電車』のジェラール・ドパルデュー(Gérard Depardieu)、『冬の旅』、…
ローランド・ジョフィ監督。1986年のパルム・ドール。史実に基づいて18世紀南米に於けるイエズス会のミッションを描く。ロバート・デニーロ、ジェレミー・アイアンズが出演。 イエズス会の宣教師と先住民グアラニー族との交わりが、スペイン帝国、ポルトガル…
溝口健二監督作。田中絹代、久我美子の出演。 ただのメロドラマと思わせて、やはりそれだけでは終わらない。男に利用される女、女の生涯を扱ったら一流の溝口の手腕だ。 北白川に家をみにゆく描写があるが、そこは大文字山を望む、本当の北白川でのロケ。女…
アラン・カヴァリエ監督作。リジューの聖テレーズ(日本では「幼なきイエスの聖テレジア」として知られている)の生涯を、彼女自身の自伝"Histoire d'une âme"に基づき、映像化した作品。1986年カンヌの審査員賞、1987年セザール最優秀作品賞。 彼女は幼少の頃…
リュック・ベッソン監督作。 アンヌ・パリロー演じるニキータのショートヘアに「1990年」を感ずる。ウェールズ公妃や、『銀河英雄伝説』のマリーンドルフ嬢、そしてこれは伝わらぬだろうが、往年のキャスター・べヴェル・メンソールのcmに出ていた女優が脳裡…
ヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders)監督作。或る女性に薦められ鑑賞。云わゆるロードムービーで、1984年にパルム・ドールを受賞。 ナターシャ・キンスキーの代表作。画像は「或る男が、覗き部屋のマジックミラー越しに、別れた妻と再会している」場面。 ヴェ…
ハーバート・ウィルコックス監督作。アンナ・ニーグル主演。第二次世界大戦時、英国のエージェントとして占領下フランスで活躍したオデット・サンソムの実話に基づく作品。3人の子供を持つ「普通の」夫人が、いかに勇敢に戦争を闘ったか、という事が記録され…
グザヴィエ・ボーヴォワ監督作。1996年のアルジェ、「ティビリヌの修道士殺害事件」を題材とする。テロに巻込まれ殉死する未来を覚悟して修道院に留まるのか、或いは去るのか。修道士たちが決断に至る過程を描く。カンヌでグランプリを受賞。 殉教した7名の…
ledilettante.hatenablog.com 劇場で観賞。『わが征くは星の大海』がテレビアニメに先駆けて公開されたのに対し、『新たなる戦いの序曲』はOVA第2期終了後、即ちラインハルトがキルヒアイス、アンネローゼと離別し、ヤン・ウェンリーに敗れ、虚しさの中で戴…