Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

キューカー『マイ・フェア・レディ(My fair lady)』1964

私にとつてミュージカル映画と云へば『マイ・フェア・レディ』である。"Wouldn't it lovely"、"On the street where you live"。日常でつひつひ口遊んでしまふ、キャッチ―な旋律が澤山。 How do you do. 若き頃のジェレミー・ブレット。彼は1933年生れだから…

マイケル・ホフマン『終着駅 トルストイ最後の旅(The Last Station)』2009

マイケル・ホフマン監督作。レフ・トルストイの晩年、妻ソフィアとの夫婦関係を描く。ヘレン・ミレンが綺麗。トルストイを演じたのは『サウンド・オブ・ミュージック』のクリストファー・プラマー、もう見た目では彼と分らない。 私の心に響かなかつた。重厚…

20230925日記_原罪

晴れ。大変な疲労。マタイ受難曲を聴き動悸を抑へる。 原罪について公教要理を確認した。 ・人間は創造主に背き、神なしに、また神によらずに「神のように」なろうと望んだ(創世記3:5)。これにより人間は、原初の聖性と義の恵みを失った。斯かる状態を原罪と…

吉野源三郎『君たちはどう生きるか』1937

今、同名のジブリ映画が上映されてゐる。尤も脚本はオリジナルださうだが。 私は本書を、遠い昔に読んだ覚えがある。その筋こそ忘れてゐたものの、本質の部分は確かに私の内奥に生きてゐた。その一つ、「自らの過ちに対し言い訳をし、それを忘却するやうな事…

『ナチス・ドイツに於る音楽(Music in Nazi Germany)』DW Documentary

www.youtube.com "Music in Nazi Germany"なるDeutsche Welleのドキュメンタリー。「おすすめ動画」として出て来たので視聴。フルトヴェングラー、ワーグナー、ユダヤ人、バイロイト、アウシュヴィッツ=ビルケナウ。話を敷衍した割に、Music is immortalと云…

ティボーデ『フランス文学史(Histoire de la littérature française - de 1789 à nos jours)』1936_ボードレール論

「『惡の華』の歴史。誤解によつて受けた屈辱、訴訟」(ボオドレエル『赤裸の心』) 「私の蒙つた屈辱は神の恩寵であつた」(ボオドレエル『火箭』) 「罪の増すところには恩惠も彌増せり」聖パウロ アルベール・ティボーデは史学と哲学を修めた後に、文芸批評の…

20230917日記

さりながら、何といふ愕くべきことであらう、我々の理解から最も懸け離れてゐる秘義、即ち原罪遺伝の秘義が、それなくしては我々がおのれ自身について何等の理解をも得ることの出来ぬ一事であらうとは。(パスカル『パンセ』) 私の魂を縛るは、唯原罪の意識の…

竹宮惠子『風と木の詩』1976-84

www.youtube.com カラヤン率ゐるベルリーナフィルハルモニカ。今ではこの名門オケも様変りし、女性コンマスが誕生したと云ふ話も聞いた。性差なく実力ある人間がコンマスになれば良いと思ふが、女性のコンマス就任、それがさも意味ある事のやうに宣伝する浮…

20230903日記

秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる 晴れ。処暑らしく、昼の日差しは夏そのまま乍ら、夕暮れ時には涼しい風もある。 今朝は肺腑を抉るやうな悪夢で目を覚ました。愛する人、友人、そして来し方の夢。これらが象徴的に出現しては、私を拒…