Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

シャトーブリアン『アタラ(Atala)』1801

『アタラ』は作者の目論見から『キリスト教精髄』に先んじて発表されたが、翌年同書第3部第6篇として組入れられた。本作には作者がアメリカ大陸に渡り得た見聞が描写されており、そのエキゾチズムが評判を呼んだ。ヨーロッパ諸国では翻訳が相次いだという。 …

シャトーブリアン『ルネ(René)』1802

『キリスト教精髄』の第二部第四編(「情熱の空漠性について(Du vague des passions)」にある挿話。一般的には「世紀病」を表現した典型的な作品と看做されている。欲望が抑圧された結果として生じた孤独、憂愁、厭世に代表されるルネの魂は、シャトーブリア…

シューベルト『野薔薇』D257

云わずと知れたシューベルトのリート。日本では近藤朔風の訳詩が有名。また『細雪』の下巻では、大垣から蒲郡へ向かう列車の中で、陸軍士官の唄うのにつれて、みながこの曲を合唱するシーンが描かれている。 童は見たり 野中の薔薇きよらに咲ける その色愛で…

バッハ『パルティータ第2番ニ短調』BMV1004よりシャコンヌ

ヤッシャ・ハイフェッツ(Yasha Heifetz)よりも優れたヴァイオリニストというのは、ありえないのではないだろうか。D-minorからD-majorへの転調。太陽の輝き。

20210221日記

修学院の方へ散歩。鷺森神社の境内を歩くとほのかに香る白梅に気が付いた。そのまま曼殊院を目指したが、かなりの山道で難儀した。途中武田薬品の薬用植物園を見つけた。なかに洋館(田辺貞吉旧邸というらしい)もみえたので見物したかったが、原則一般公開は…

20210219日記

枚方国際ゴルフ倶楽部 total72 +6 +3 △ +4 +3 - +6 +3 +3 △ +5 ▢ ▢ +3 ▢ ▢ +3 +4 OUT 65 IN 60 TOTAL 125

20210217日記

関西の魅力はその多極性にある。京都、大阪、神戸といった中心都市とその周辺都市が各々歴史と文化を持っていて、且つ重要なことに、そこに住む人々がそれを誇りに思っている。云わば、関西の人々は生活にこだわりを持っている。

ロラン『ベートーヴェンの生涯(Vie de Beethoven)』1902

ロランが「心に拠って偉大であった」と崇敬する、作曲家L.V.ベートーヴェンの伝記。英雄への渇望を雄弁に物語る。但しロランはベートーヴェンに対する「信仰と愛との証」により、作品中彼を美化していることを認めている。不幸で貧しく孤独であったベートー…

コンスタン『アドルフ(Adolphe)』1816

人妻に手を出した青年(=語り手)の話。青年は深刻なペシミズムに冒されているが、これはフランス革命後の世紀病に冒された作者コンスタン自身の反映である。近代心理小説の先駆と名高い。世の常の「恋愛小説」のような情熱がみられるのは3章まで、残りの章(こ…

Wir setzen uns mit Tränen nieder und rufen dir im Grabe zu, Ruhe sanfte, sanfte ruh'! 私たちは涙を流し、ひざまずいて、墓の中にいる貴方に呼掛けます、安らかにお休みください、安らかに。

フォーレ『夢のあとで(Après un rêve)』op.7-1

Fauré: Après un rêve, Op. 7, No. 1 (Arr. Viola & Piano) 『3つの歌』op.7の第1曲。フォーレの歌曲中最も有名なのではないか。歌曲としてのみならずチェロの独奏版としても有名。だが私はヴィオラの独奏をおすすめしたい。 3 Songs, Op. 7: No. 1, Après u…

高踏派、頽唐派、超自然主義について

高踏派(les parnassiens)主観的で感情過多なロマン主義を克服し、詩における一種のレアリスムともいうべき没個性と不感無覚を標榜する。形式の完璧性を重んじ、民衆の趣味に迎合することを峻拒。テオフィル・ゴーチエ(Théophile Gautier)やルコント・ド・リ…

ボードレールについて

ロマン派の場合、感傷に身をゆだね、心情を吐露するときに、いわば偶然的に詩ができる。これに反して近代詩の父であると同時に近代批評の父でもあるボードレールの場合、単なる詩の技巧などというものを越えて、詩の言語や形式の問題について、きわめて意識…

フランス文学とキリスト教

文学と宗教のつながりは、決して直接的でもなければ目的論的でもない。宗教が文学にあらわれるのは、つねに結果的であり、またそうあらねばならない。(...)中世から現代に至るまで、フランス文学の作品には、キリスト教に対する肯否は問わず、いずれもそれが…

ベルリオーズ『叙情的情景:クレオパトラの死(La mort de Cléopâtre)』H.36

La mort de Cléopâtre H.Berlioz soprano:Véronique Gens Conductor:Jakub Hrůša エクトル・ベルリオーズ(Hector Berlioz)作曲のカンタータ。ちなみにH番号というのは、アメリカの音楽学者カーン・ホロマン(Kern Holoman)が付けたベルリオーズ作品の目録番号…