2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧
以前の記事で扱ったRobert Southwellの詩"New heaven, new warre"について、Nancy Brownの編纂による"The poems of Robert Southwell, S.J.(1967)"の中に、それのより確かな文献を発見した為、該当部分をここに掲載する。編纂に辺り彼が用いた文献は16世紀,1…
『皇帝に捧げた命(Жизнь за царя)』はミハイル・グリンカ(Михаил Иванович Глинка)が作曲したロシア・オペラである。ロシア情緒が溢れるこの作品は、ロシア国民主義音楽の先駆的存在と云えよう。専制・正教・国民性からなる「官製国民性」の原理と合致する作…
シェイクスピアのソネットには、Fair Youth即ち美男子に贈られた詩が多くあるが、殊にこの20番は露骨だ。 20 A woman’s face with nature’s own hand painted君が持つのは女神の描いた女の顔 Hast thou, the master-mistress of my passion;男であり、女でも…
オペラ『シチリア島の夕べの祈り』より、ソプラノのアリア「ありがとう、愛する友よ(Mercè, dilette amiche)」。ボレロ調の音楽は劇舞台パレルモのイメージにぴったりだ。太陽輝くティレニア海の情景が目に浮かぶ。イタリアを愛するヴェルディにしか書けない…
エドマンド・スペンサー(Edmund Spenser)の詩を、現在私たちがよく知る形に近づけたのはジョセフ・リトソン(Joseph Ritson)だと先日述べた。彼が遺した童謡集、『ガートンおばあさんの花環(Gammer Gurton's Garland)』1784から、その一節をみてみよう。 The …
イングランドの童謡(nursery rhymes)集から、甘い恋の詩を取り上げる。 Roses are red, Violets are blue,Sugar is sweet and so are you. バラは赤く、スミレは青い砂糖は甘く、そしてあなたも この詩はしばしば、バレンタインデーの贈り物に添えられるのだ…
www.youtube.com 『メデイア』は古典音楽から初期ロマン派音楽への過渡期に活躍した伊太利の作曲家、ルイージ・ケルビーニ(Luigi Cherubini)のオペラ。初演は1797年、パリにて。 古典の厳粛さを保ちながらも、モーツァルトとは明確に異なる、人間の「感情」…
ヒットラーが計画した首府の改造。都市設計はベルリン建設総監、後の軍需大臣であるアルベルト・シュペーア(Albert Speer)が担当。 ベルリン中央駅から国会議事堂(Große Halle)の南北を貫く5kmのメインストリートに沿って政府機関ビル、大企業本社、各国大使…
"Der Tod in Venedig." 和訳は『ヴェニスに死す』。名訳だ。堅物の男が、強烈な生の虜となり自制を失い滅びる。『カルメン』や『痴人の愛』と同様のテーマと言えるかもしれない。しかしこれら作品と決定的に違うのは、『ヴェニスに死す』からは「肉の香り」…
先日扱った「子守唄(Balulalow)」と同じく、ブリテン『キャロルの祭典』より。地獄を思わせる暗いアプローチ。音楽にある激しきポリリズムは、イエスとサタンの戦い。我々に対しアンガージュマンを呼びかける。歌詞は16世紀イングランドの聖職者ロバート・サ…
ブリテンの『キャロルの祭典(A ceremony for Carols)』の中の一曲である。ソロを担当しているのは、エドワード・バロー(Edward Burrowe)。著名なボーイ・ソプラノ、 歌詞はスコットランドの詩人ウェッダーバーン兄弟(James Wedderburn, John Wedderburn, Rob…