Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

パトリス・ルコント『メグレと若い女の死(Maigret)』2022

晴れ、喜びの主日。入祭唱には『久しく待ちにし』が歌われた事だろう、欠席したから真偽は判らぬが。行きつけの仏蘭西料理店で食事。シェフとマダムに年の瀬の挨拶を済せた後、木枯らしが散した枯葉の上を逍遥し乍ら、来週に迫った羇旅の事を考えていた。旅の道連れには何の本を持って行こうか、決めかねている。

パトリス・ルコント監督作。ジョルジュ・シムノンの「メグレ警視」シリーズ。メグレをジェラール・ドパルデューが、その妻を『パリ、テキサス』のオーロール・クレマンが演ずる。あと、ちょい役でフィリップ・デュ・ジャネランも出演。

パトリス・ルコントがメグレものを映画化するのは、『仕立て屋の恋』に続きこれが2作目であろうか。技倆ある俳優を起用し、1950年代を思わせる演出・衣装とも流石に一流で、円熟の仕上り。彼は職人である。