Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

キューカー『マイ・フェア・レディ(My fair lady)』1964

私にとつてミュージカル映画と云へば『マイ・フェア・レディ』である。"Wouldn't it lovely"、"On the street where you live"。日常でつひつひ口遊んでしまふ、キャッチ―な旋律が澤山。

 

How do you do. 若き頃のジェレミー・ブレット。彼は1933年生れだから、当時31歳か。

 

"The rain in Spain stays mainly in the plain"

 

ヒギンス教授の次の台詞は面白い。

Why can't a woman be like me?

女性に知性を求める者は男色家の気があると云つたのは、ボードレールだつたと思ふ。普通、男が女を愛するのは「自分と異なるから」ださうだが、ヒギンス教授のやうに女性に知性や冷静と云つた男性美を求めるのは、男色家とは云はずとも、ダンディの傾向である。彼等は現実に存在せぬ永遠の女性を探し求めてゐる訳だから、Remaining Bachelorになり易い。さう、『ピグマリオン』或いは本映画の如くに、理想の女性を自らの手で創り出さぬ限りは。