Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

リドリー・スコット『ナポレオン(Napoleon)』2023

先日公開のリドリー・スコット『ナポレオン』を池袋東宝で鑑賞。全篇英語故に"Long Live the Republic!"や、"Long Live the Emperor!"と云う、まず英語では聞かない台詞が面白い。

 

リドリー・スコットは『決闘者』の頃から何も変わらない。彼の粘着質・怪奇的な映像は、私には悪趣味にしか映らないのだが、演者の衣装が立派だから見ていられる。この映画にしても2時間半という長編だが、私を座席に留めたのは、ナポレオン近衛兵の軍服姿であった。

 

英雄としてのナポレオンを描かない。脆く、エゴイストで、情事に耽る男。劇中、「貴方は私がなければただの男」というジョゼフィーヌの台詞があるが、これが主題なのかも知れない。ただアウステルリッツの戦いだけは、兵法家たるナポレオンの鬼才を描破していて昂奮した。今度のパリ旅行では、やはりエトワール凱旋門を見に行こうか。

 

私の好きなナポレオンの逸話。ワーテルロー敗戦後、捕虜として英国軍艦で護送される途中の寄港地には、敗軍の将ナポレオンを一目見て、嘲罵してやろうとする群衆が待ち構えていた。だが甲板に出て来たナポレオンは整った軍服姿で、その光耀ある立居振舞は正しく英雄。群衆は脱帽し、皇帝陛下万歳を叫んだという。

私はこの話をどこで読んだのだろう、思い出せない。

 

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