Mon Cœur Mis à Nu

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

アラン・カヴァリエ『テレーズ(Thérèse)』1986

アラン・カヴァリエ監督作。リジューの聖テレーズ(日本では「幼なきイエス聖テレジア」として知られている)の生涯を、彼女自身の自伝"Histoire d'une âme"に基づき、映像化した作品。1986年カンヌの審査員賞、1987年セザール最優秀作品賞。

彼女は幼少の頃より修道女となる事をひたぶるに望んでいた。14歳の彼女はカルメル会入会を願うが、若すぎる齢を理由に許可されなかった。だが彼女の一途な想いは変わらず、時の教皇レオ13世に請願をする程。16歳で遂に修道女となった聖テレーズは、その後結核により24歳で天に召される迄、虚しきものに目を向ける事なく、その短き生涯の一切をイエズスに捧げた。この映画は彼女の純粋さ、一途さを描破しており、そこに胸を打たれた。

カルメル会誓願式については、色々と噂に聞いている。イエズスの花嫁として純白のドレスに身を包む。祭壇に上がると今度は現世の死者となるべく床に横たわる。ここを「柩に入る」と記述する文献もある。そして言葉で誓願をした後に髪を裁ち、カルメルの黒い被衣を冠ると。

アラン・カヴァリエはルイ・マルの助監督をしていたと云うが、この作品からは寧ろロベール・ブレッソンの影響が窺える。音も色も最低限の、極めて禁欲的な作品。すべてを1つのスタジオ内で撮っているのだろうか? 映画というよりは舞台に近い。