Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

Diary

20221229日記_離別

晴れ。 ベネディクト16世名誉教皇聖下の命旦夕に迫ると報道有り。聖下はカトリック教会の良心であらせらる。主よ、聖下を暫し現世に留め、聖下をして我々信徒を導かせ給へ。尤も聖下御自らは倏忽に常世へ移ることを願っておいでかもしれぬが。さもあれば聖下…

20221206日記

仕事から帰る。雨でしとどに濡れたスーツにスカーフそして靴の手入れを終え、私はベッドに倒れ込む。ふとスマホを手に取ると、珍しい友人からの通知が一件(そもそも通知自体が珍しいのである)。結婚するという短い報告。どうでもいいと思いながら、月並みの…

20221127日記

あわれみの神 とく來り給へ我等はみな迎へ奉らん 救いの御子 旅行中で御ミサは欠席したが、本日よりアドベント、待降節。悔い改めの時期と雖も、イエズスの受難を想う四旬節と較ぶれば、期待と歓びとに心も騒ぐ。 この時期になると思い出す。昔マリアージュ…

20221112日記

M.N.尊敬すべきあなたが私を大切に思ってくれている。しかもそれを行動で証してくれた。なんという倖せを私に恵んでくれたことでしょう。私は無為な人間ですが、せめて遠くから、あなたの倖せをお祈りさせてください。V.K.M.

20221105日記_東京カテドラルにて

人々を強ひて連れきたれ (ルカ傳14:23) 晴れ、よい心地。朝、京都から紅茶が届く。ルフナ地方のルンビニ茶園のもので等級はFBOPF、Flowery Broken Orange Pekoe Fannnings。午餐はフランス料理屋で、Inada fumé、Clepinettes de porcを注文。その後で東京カ…

20221030日記_Meine Ruh ist hin

落ち着きは消え去りて 我が胸のいとおもし 『ファウスト』 御ミサに調和が見出せず、悲しくて、思わず途中でふけてしまった。十字架の影が射した我が心、カトリック以外の何者にも為りはすまいてふ気持に変わりはないが、イエス様は我が信仰薄きをお咎めにな…

20221023日記_「新しいミサ」について

晴れ。主日ミサののち教会の掃除。ビストロで食事を済ませ、秋闌ける小石川植物園を訪れる。篠懸樹の葉隠に憩いて、微睡みながらブラームスのピアノ協奏曲第2番を聴く。私の通った小学校に篠懸の森があったことを想い出し、郷愁に似た感情を抱く。暫し陶酔。…

20221022日記_びいどろつくりとなりてまし

晴れ、小春日和。昼餉はいつものフランス料理屋で、イナダのマリナードとポークのカシス煮込みを注文。向かいの席に容色麗しき人あり。嘗て恋した人に似つ。夜は誘いを承け、丸ビルのサロンで催された音楽会に出席。 萩原朔太郎の詩に三善晃が曲をつけた『抒…

20221013日記

つまらぬ、精神を消耗する、だが私に糊口を許す有難い仕事を終えて帰宅。郵便受けに神からの祝福。 かねてより垂涎していた書物、『リラダン=マラルメ往復書翰集』森開社, 1975が届いた。森開社というのは仏文学を専門とし奢侈な装幀で有名な道楽の出版社で…

20221005日記

眠れぬ為日記をつける。 小雨、過し易い。フォーレのレクイエムを聴く。近頃政治が煩いが、私にとって国家など、偶然に生を受けた土地以外の何でもないから、どうなってくれても構わない。喩えこの国の輿論が寛容を喪い、我々に対して(つい80年前の様に)攻撃…

20221003日記

神は、言葉でもなく、象徴でもなく、抽象でもなく、恰も我々が、我々を愛し、識り、理解する父と暮らすように、魂が相共に暮すところの存在である。 その情緒は極めて甘美にして強烈であるから、一度それが去ってしまうと、それはもはや、それよりも強度の低…

20220903日記

銀座まででかけて、ジャケットを新調。生地は伊太利製の黒無地。ダブルブレステッド、黒水牛の6つ釦3つ掛(ここが重要)。ピークドラペルに、サイドベンツ。型紙から作成して頂くから、納品に時間がかかるとのこと、問題ない。

20220829日記

信仰とは人生の防波堤である。マストを折られた人間が平和に座礁していられるための。

20220816日記

晴れ、沛然と降る夕立ちあり。変わらず暑い。山梨県立美術館まで出かけた(大変な遠出!)。ここはミレーはじめバルビゾン派のコレクションで有名である。17の頃か、NHKの特集で存在を知った。以来いつか訪ねてみたいと思っていた。「種蒔く人」が目玉であるが…

20220703日記

曇り、暑い。やや朝寝坊、少し遅れてミサに与る。いつものフランス料理屋へ。マダムが御病気になられたとか。全快を願って已まない。ヴァイオリンのレッスンの後、伊勢丹へ。マダムに贈る見舞の品を物色、購入。他に用はないのですぐ帰宅。マーラーの交響曲…

20220620日記_恋愛とは

恐らく「恋愛」は生物学者にとって<粘膜の問題>に過ぎず、「女性」は蕩児にとって快楽の道具に過ぎず、「結婚」は西欧の政治家にとって人的資源の向上に過ぎまい。併しながら詩人にとって女性とは、「完璧」の幻であり、恋愛とは「祈禱」であり、婚礼とは「…

20220611日記

いつものフランス料理屋、が混んでいて入れなかったので、近くのイタリア旗亭へ。食事後東京オペラシティまで音楽会に出かける。シューマンの第3番と第4番。式は飯守氏、細かい指示を与えているのか、手の震えが止まらないのか。御年の所為か、譜面を捲るの…

20220514日記

いつものフランス料理屋で食事した後、バラを観に音羽まで出掛けた。連日の雨で幾らか色褪せてしまってはいたが、何も花が美くしいのはその盛りの時期に限ったことではない。「花は盛りに、月は隈無きをのみ見るものかは」と。帰宅後、マーラーの第1番と第5…

20220504日記

はじめて男娼を買う。

20220422日記

晴れ。暑い。伊勢丹で靴を買う。 絲の如く 麻の如く尠くとも(すくなくとも)holocaust 燔祭(はんさい) 猶太人虐殺の意で使われるが、原義は生贄を火焙りにして神に捧げる行事のこと。いや、同義か。ゆくりなく 思いがけなく、突然に心緒(しんしょ) 心の中で思…

20220410日記_齋藤先生の墓

小石川にある伝通院を訪ねた。かの地に眠る齋藤磯雄先生に手を合わせるため。

20220313日記

「ブラームス室内楽マラソンコンサート」なるものに、東京オペラシティまで出かける。文字通りブラームスの室内楽曲を10時間聴き続けるというコンサート。玄人好みだ。 ピアノ三重奏曲第1番ロ長調ピアノ三重奏曲第2番ハ長調ピアノ三重奏曲第3番ハ短調ホルン…

20220227日記

東福寺へ行く。やはり臨済宗の寺は落ち着く、通天橋を渡りたかったが、袴姿と振袖姿の男女が撮影をしており諦めた。 京阪に乗り三条を経て蹴上に向かう。南禅寺、哲学の道、法然院。「奥丹」で昼餉予定であったが休業で、敢無く「㐂さ起」へ。胡麻豆腐が美味…

20220130日記

東京文化会館に『イル・トロヴァトーレ』を観に出掛けた。藤原歌劇団による公演。お世辞にも「良かった」とは云えぬ。

20220104日記

www.youtube.com シューマンの交響曲第4番を聴いている。 祖父と会った。最早まともな意思疎通は不可能であるから、今まで何度となく繰返された、話の筋に相互理解のある想い出話をして過ごす。それでも祖父は、私と会話をすることが実に楽しそうで、幸福そ…

20211209日記

疲れ果てた心。晴耕雨読の日々を夢見る。先週はミサをサボタージュした。神に祈りを捧げる気が起らなかった。 今読みたい本。メリメ『シャルル9世年代記』ゴーチエ『モーパン嬢』

20211130日記

近頃読んだヘッセの言葉は私の心を搏った。 「神がわれわれに絶望を送るのは、われわれを殺すためではなく、われわれの中に新しい生命を呼びさますためである。」 見習工をしながら学問を続け、自己を実現したヘッセの言葉。 この言葉を忘れたくはないものだ…

20211122日記

東山を北から南へ、法然院から南禅寺まで。雨であったのが却って良かった。静かな午前、散歩を心置きなく愉しめた。順正で昼餉。向いの席には日本髪をしたうら若き4人の娘。舞妓さんだろうか?その装いの趣味の良さ(安着物の観光客とは好個の対照!)と、立居…

20211117日記

晴れ、暖かい。六義園へ行く。何てことはない。こんなものを有難がる東京の人間は馬鹿だと思う。 怯懦(きょうだ) 臆病で気の弱いこと爾余(じよ) それ以外端倪(たんげい) 物事の成行を見通すこと「端倪すべからざる」=推し量れないほどの大童(おおわらわ) な…

20211017日記

友人と化野まで散歩する。天龍寺前の老松でお抹茶を戴く。現代短歌の話をしたり、フランス革命の話をしたり。このような酔狂に附合ってくれる人はそう居ない。