Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

フォーレ「贈物(Les Présents)」『2つの歌(2 Mélodies)より』op.46-1, 1887


www.youtube.com

数あるフォーレの歌曲の1つである。
詩はヴィリエ・ド・リラダンのもの。『残酷物語』に集録される「恋の物語」の第3篇、「贈物」が出典。
「恋の物語」に集録されている7篇の詩は、恋愛の眩惑、歓び、苦悩、そして忘却に至るまでをうたうのであるが、この「贈物」は恋愛の一番の歓び、すなわち心の交わりを詠んでいて、曲調もそれに相応しく、慈愛に満ちた穏かなものとなっている。

 

Si tu demandes, quelque soir,
或る夜、もし君が求めるならば、
Le secret de mon cœur malade,
僕の病める心の秘密を、
Je te dirai, pour t'émouvoir,
僕は語ろう、君の胸を打つため、
Une très ancienne ballade.
いにしえの譚詩を。

Si tu me parles de tourments,
もし君が苦しみを、
D'espérance désabusée,
醒めた夢を語るのであれば、
J'irai te cueillir, seulement,
ただ君のため、野に出て摘もう
Des roses pleines de rosée.
露にぬれた薔薇を。

Si, pareille à la fleur des morts
死者に手向ける、
Qui fluerit dans l'exil des tombes,
奥津城でも色褪せない花のように、
Tu veux partager mes remords...
君が僕の悔恨を分たんと望むなら、
Je t'apporterai des colombes.
僕は贈ろう、やさしき鳩を。