ここに、最も重要なことがある。己惚れた世紀に生れ、他のあらゆる国民に較べて最も己惚れた国民の兒であるこの作家が、人間本然の邪悪を明瞭に見、平然と確言した、といふことを我々は注意したい。彼は言ふ、人間の裡には、近代哲学が考量に入れたがらぬ神…
帰納法の大家、霊妙怪異なエドガー・アラン・ポオ。ポオの美学は感覚的なものではなく、精確無比、理知的計算の上に成り立つ。ポール・ヴァレリーはポオの作品を指して、あの「数学的阿片を決して忘れることはできぬ」と云った。 ポオについて、美の評論家デ…
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