Mon Cœur Mis à Nu

But, darlings, the show must go on.

2025-11-01から1ヶ月間の記事一覧

20251127日記_晩秋の名残

晴、朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)の候が言う通り、街路のイチョウが黄葉をしきりに振払う。その落つる木の葉に、晩秋の淡い陽光が当たって金色に輝く様は大層美くしく、うっとりとしてしまう。と同時に、私が一年で最も愛する季節が終わってしまうこ…

20251121日記_虹蔵れて見えず

www.youtube.com 晴、仕事を終えて、恋人と夕食を共にする。イタリアン。レストランから歩いて初台のオペラシティへ。紀尾井室内管弦楽団の定演、ブラームスの交響曲第一番を鑑賞。夢に見た恋人とのコンサートだというのに、私の心は高鳴らない。演奏自体も…

20251120日記_昭南島にて

18日、終日働いた後に羽田を発ち、ラウンジで頂いたシャンパンでほろ酔い状態とは言えエコノミークラスで眠れる筈もなく、19日の早朝シンガポールに到着。そのままサミット会場のホテルで、ひねもす銀行家・投資家と会合・社交。普段は触れ合うことのない人…

20251117日記_われふかき淵より汝をよべり

晴、菊が最期の色を添える晩秋の小石川植物園を逍遥。柔らかい陽光を受けて輝く金色の落葉を踏みしめると、何とも神秘的な音が。尤も、私の心は穏やかではない。 上野にある某アトリエへ赴き、「イコン展」を鑑賞。正教の聖具をただのコレクターズアイテムと…

20251106日記_炉開

晴、霜降も末候となり、楓蔦黄(もみじつたきばむ)と言うように、確かに先日歩いた御池通の亭々たる欅並木は紅に黄色に色づき始め、晩秋のおとづれを感じさせるものであった。カトリックとしては、11月は「死者の月」である。3日は万霊節であった筈だが、朗読…

ヴァレリオ・ズルリーニ『タタール人の砂漠(Il deserto dei Tartari)』1976

今月は東劇で『娘道成寺』が上演されるので、是非足を運びたいと思う。またベッリーニの『夢遊病の女』も、気が乗れば見ようと思う。 ズルリーニ監督作。ブッツァーティの同名小説の映像化。読書家にとってすれば、やはり小説を下敷きにした映画が一等面白い…

クエンティン・タランティーノ『イングロリアス・バスターズ(inglourious Basterds)』2009

伊勢丹に依頼していた傘の修理が済んだ。前に記事を書いてから何があったかと思い返して見る。金木犀をはじめ、名残の花の香は絶え絶えになり、揺落の季節に入らんとする折、私の目を引いたのは、花と見紛う程に紅の、ハナミズキの葉であった。 タランティー…