Mon Cœur Mis à Nu

But, darlings, the show must go on.

2025-02-01から1ヶ月間の記事一覧

20250226日記

精神病みの人は可哀想である。精神病みの人は正常な判断ができない。苦しみから逃れようと尚早な判断をし、更なる苦しみを蒙ることになる。ゲヘナのやうな、終りの無い苦しみである。どうして神様は、彼らにさうした困難をお与へになるのか、私には判らない…

田中絹代『お吟さま』1962

田中絹代監督作。彼女は木下惠介『陸軍』1944で名演技を見せた女優である、映画を撮つてゐるとは知らなんだ。 利休の娘、堺の商人で茶人の万代屋宗安の妻であるお吟(名は創作らしい)と、高山右近との痴話である。利休関連の映画の中で最も程度の低い映画では…

20250221日記

君ならで誰にか見せむ梅の花 色をも香をも知る人ぞ知る 晴、雨水と言ふだけあつて、雪を溶かすその陽光は、最早冬のものではない。 今朝の新聞に、米国民のトランプ氏支持に関連付けて「反知性主義」といふ言葉の解説があつた。これはトランプ氏の言動を指差…

勅使河原宏『豪姫』1992

勅使河原宏監督作。 この所続けて、茶の湯と関連する映画を観てゐる。今度は前田利家の娘、宇喜多秀家の正室豪姫と、古田織部とを中心に、蒲生氏郷、細川忠興、高山右近ら。豊臣から徳川へ、動乱の世に生きる茶人を描く。 茶人にキリシタンが多いのは、どう…

熊井啓『千利休 本覺坊遺文』1989

熊井啓監督作。三船敏郎が千利休を演ずる。ヴェネツィアの銀獅子賞。 利休居士の死後、洛北の山庵に遁世する本覺坊といふ弟子(架空の存在)が、織田有楽斎、東陽坊長盛、古田織部そして千宗旦と交流し乍ら、利休がどういつた気持で死んでいつたのか、に迫る物…

大島渚『御法度』1999

大島渚監督作。幕末の京都、新選組。美少年加納惣三郎の入隊。妖艶な美少年に乱される屈強なる男たちの心。しかし私の心に愬ふるものは無かつたかな。

勅使河原宏『利休』1989

勅使河原宏監督作。本物の長次郎(赤楽)、本物の織部。小道具の迫力がまあ凄い、それに負けぬ俳優らの迫真の演技も見事である。映像も音楽も幽玄で良い、敢へてチェロなのが良い。近頃はかういつた本格派の日本映画はめつきり減つたし、心を持つ日本人も減つ…

20250216日記

ARS, UTINAM MORES ANIMUM QUE EFFINGERE POSSES !藝術よ!汝が人の精神をまとうてくれたらなあ!≪ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像≫ 晴、膨らんだ梅や沈丁花の蕾が、春の到来を感じさせる。いつも通りに仏蘭西料理店で昼餉をと考へたが、先週マダムに私…

パトリス・ルコント『仕立て屋の恋(Monsieur Hire)』1989

パトリス・ルコント監督作。ミシェル・ブラン(昨年亡くなつた)、『冬の日』、『悪魔の陽の下に』のサンドリーヌ・ボネールが出演、最優秀助演賞にブラームスのピアノ四重奏曲第1番第4楽章と、在りし日のパリ北駅。 何度でも言ふ。これはフランス一流の心理小…

マーティン・ブレスト『ジョー・ブラックをよろしく(Meet Joe Black)』1998

マーティン・ブレスト監督作。ブラッド・ピット、アンソニー・ホプキンス出演。とこしへの時を生きる悪魔に、倏忽として生を終へる人間が、愛とは何かを垂れる。生涯を懸けて相手への信頼と責任を全うすること、何より愛する人を傷付けぬこと、ださうだ。 心…

20250209日記

晴、寒し。檀那寺が写真を載せてゐたが、私の地元は10年に1度の大雪に見舞はれたと言ふ、幸ひにして家族は無事。 昨日、仏蘭西料理店 (私の行きつけのもう一方) のマダムに仏土産を手交、これで全て済んだ。サラダ・ニソワーズ(オリーヴとトマト)とクレピネ…

ジェームズ・アイヴォリー『眺めのいい部屋(A Room with a View)』1986

I mean something happened to me, and to you. 旧い友人に言はれた事がある、「貴方は常に何かを我慢して生きてゐる」と。私の青春を想ひ返せば、自らの惨めさを人に見透かされぬやう無理して気高く振舞はんとする、そんな記憶ばかりだ。 この映画が嘲笑ふ…

ロマン・ポランスキー『テス(Tess)』1979

生涯傑作を生み出し続ける怪傑、ロマン・ポランスキー監督作。セザール賞。 トーマス・ハーディの『ダーバヴィル家のテス』といふ1891年の小説の映像化。男に運命を翻弄される無知な田舎娘。男のエゴイスムと女の不幸への執着。自然主義の作品らしく、人類の…

デヴィッド・マッケンジー『パーフェクト・センス(Perfect Sense)』2011

デヴィッド・マッケンジー監督作。ユアン・マクレガー、エヴァ・グリーンが出演、『男と女』のやうな、大人の恋を描ゐた作品かと思うたら、まあさうには違ひないが、まるでコロナ禍を予言したかのやうなSF、スリラー。イギリス映画らしさ。嗅覚、味覚、聴覚…

ドミニク・クック『クーリエ: 最高機密の運び屋(The Courier)』2020

晴。本日は仕事を休んだ。投函はまだだが手紙を書いた。矢張り書くといふ事は良い、一々字引をするのではなく、脳裡に浮かんで来た儘に、一気呵成に思ふが儘に書くのが良い。推敲は必要だが、まずはそれでいい、それが気持ち良い。大分楽になつた。 ドミニク…

20250203日記

立春、晴れ。家族の危機、弟の病状甚だ悪し。弟を刺激せぬやう父は本家に戻りつ。家には母と弟と唯二人のみ。父母憔悴す。家の終りと父、親の責任と母、気負はずともよしと我言ふに、増して自責の念にからるる様子、痛ましや。東京にて何する者ぞ我一人。頼…

エイドリアン・ライン『ロリータ(Lolita)』1997

微雨、寒し。予報では雪と言つてゐたが案の定降らず。 先週の金曜日、駒場の日本近代文学館、「三島由紀夫生誕100年祭」なる催しに伺ふ。同窓や作家、文藝評論家に宛てた手記ら数多。また「盾の会」関連の写真など面白く拝見。1970年11月25日の市ヶ谷決起で…