Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

パトリス・ルコント『暮れ逢い(une promesse)』2013

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パトリス・ルコント(Patrice Leconte)監督作。脚本はオーストリア=ハンガリーの作家シュテファン・ツヴァイク(Stefan Zweig)の小説 “Reise in die Vergangenheit(過去への旅路)“。

 製鉄会社オーナーの秘書となった青年。その手腕で信用を勝ち得た彼が恋したのは、オーナーの妻であった。映像の美しさ、小道具の趣味の良さは流石のルコント監督だ。しかしこの脚本では彼の良さがでない。鑑賞したオペラが “Fiderio”だなんて皮肉だ。ありきたりな“不倫モノ”はルコントのtasteではない筈。もう少し彼特有の「気持ち悪さ」が観たい。ベートーベンの『悲愴ソナタ』の第二楽章がテーマ曲。