
スティーブン・ダルドリー監督作。イングランド北部の炭鉱夫の息子ビリー・エリオットがロイヤル・バレエのダンサーを目指す。
映画としては凡だと思うが、貧しい少年のサクセスストーリーに低評価を付ける気にはなれない。この映画における見所は、実は少年をロンドンに送り出す側の人間の描かれ方だと思う。それは労働者階級の「諦念」とでも言うべきもの、現代社会において、この諦念は膨張し続けており、ビリーが享受したような夢物語は、もはや通用しなくなって来ている。
本映画は、ゆくりなく世界の労働者階級の受難に思いを馳せる契機を呉れた。すると私は、先日友人と交わしたAIに関する会話を思い出した。
会話において、私たちはAIをはじめとする先端技術の無制限な拡大と急速な普及に対する危惧を共有した。今の人類の知能程度では、とても科学を御し得ないと。
その一方で、私はこうも思った。AIによる人類の支配によって、人類が一度は挫折した共産主義社会が実現するのではないか。また、自律的なAIを搭載したヒューマノイドによって、多くの人間の孤独が癒やされるのではないか。
人類はAIに膝を屈することによって、幸福になれるのではないかと。