Mon Cœur Mis à Nu

But, darlings, the show must go on.

20251013日記_秋の七種

 

 

秋の野に咲きたる花を指折りて かき数ふれば七種の花

萩の花尾花葛花なでしこの花 女郎花また藤袴朝貌の花

                      山上憶良

 

晴、菊花開。寓居近くに新しくビストロが出来たので、そちらで昼餉を済ます。4月以来に植物園へと出かけた。春に植物園を騒がせた中国人たちはいない。あれは恐らく、SNSで紹介されたか何かで、一過性の混雑であったのだろう。全く有難いことだ、私のサンクチュアリが戻って来た。鈴懸の木の下のベンチで安らう。散策しているとやや汗ばむが、風と木の葉のざわめきが実に心地よい。良い季節になった。秋の七草うち萩と桔梗(朝貌)と尾花を見つけた。

 

昨日の新聞であったと思うが、ここ数十年の間に、夏が3週間伸びているのだと言う。その分、春と秋が短くなっている。百人一首の多くは秋の歌だ。夏の歌は思い浮かぶだけで「春すぎて」と「夏の夜は」と「風そよぐ」の3首しかない。それゆえ日本人のあはれは、秋という名残の季節に由来するものだと言っていい。それだのに、この国から秋が無くなっていく。これに恐ろしさを感じる私は、余程のペシミストなのだろうか。

 

山上憶良といえば、こんな歌もある。およそ平安や鎌倉の時代には詠まれないであろうますらをぶりである。

 

をのこやも空しかるべき萬代に 語り継ぐべき名は立てずして

 

その後銀座へ出て買い物を済ませた後、東劇で『源氏物語六条御息所』を見たが、くだらなさ過ぎて気が触れそうになった。