Mon Cœur Mis à Nu

But, darlings, the show must go on.

ジャン=リュック・ゴダール『軽蔑(Le Mépris)』1963

「お金がいるでしょう」
「なぜ、そう思うのです」
「美くしい奥方をお持ちと聞いています」

 

死は物語の結末にならない。(フリッツ・ラング)

 

諸君は知識を求め徳に従うべく生まれたのである。(ダンテ『神曲』)

 

ゴダール監督作、新文芸坐で鑑賞。BBことブリジット・バルドー名脇役ミシェル・ピコリ、それにフィルム・ノワールの老監督フリッツ・ラングが本人役でゲスト出演している。

 

これまで『女は女である』、『勝手にしやがれ』、『気狂いピエロ』、『カルメンという名の女』を見たが、いずれにも美くしさを感じることはなく、従って評価をしていなかった。今回も「ああ、ゴダールだな」と思いながら何気なく鑑賞したが、帰宅後に調べて、これが1963年の映画と知り、度肝を抜かれる。鮮やかなカラー映画も珍しかった頃である。スタジオ撮影の、古典的で、構造的な映画に倦んでいた若者の目に、ゴダールの映画は、どれほど新鮮に映ったことか、想像に難くない。ゴダールは紛れもなく、当時の最先端だった。

 

まあ、そうした時代背景と、私が愉しんだかどうかは、やはり別の問題である。イタリアの風光明媚と、アパルトマンのモダンな家具調度のデザインへの興味に助けられたが、我々をどこへとも導かない、低劣な痴話喧嘩を延々と聞かされ、ストレスが溜まる。私と恋人の仲もこんな感じかも知れないが。ゴダールの映画は感情移入が困難だと言われているが、この『軽蔑』は上に述べたような題材なので、共感ができてしまった。それがなおのこと、苦痛であった。