
Providence(摂理)。ジョゼフ・ド・メーストルを思ふ。
アラン・レネ監督作。第3回セザール賞最優秀作品。『ベニスに死す』のフォン・アッシェンバッハ、ダーク・ボガードが出演。王立演劇学校出の舞台役者達、英国映画さながらの美くしいReceived Pronounciationが話される。
だが英国映画を特徴付ける物語性とは無縁の作品。老いた小説家の脳内で、全てが完結する。小説と現実とを行き来し、その支離滅裂さは、人間の思考・記憶が確かではない事を示してゐるやうに思ふ。『去年マリエンバードで』も似たやうなプロポジションだつた。音楽は映画音楽作曲家のロージャ・ミクローシャが担当してゐる。ショスタコヴィチのやうな重厚さで、映像と俳優の格調に相応しい。
まとめると、苦痛な二時間弱であつた。『二十四時間の情事』も、『去年マリエンバードで』も、どこか気に入つて幾度か見返したものだが、これを見返す事はないだらう。どうしやう、このままでは眠れない。