Mon Cœur Mis à Nu

But, darlings, the show must go on.

フランコ・ゼフィレッリ『ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)』1968 

月毎に姿を変えるあの月に、あの浮気な月にかけて誓ってはなりません、

あなたの愛が月のように変わりやすくなるのはいやでございますもの。

 

シェイクスピア『ロメオとジュリエット』平井正穂訳

 

過日、シェイクスピア戯曲の翻訳で知られる小田島雄志氏の訃報に接した。とはいえ、岩波文庫でしかシェイクスピアを読まない私にはピンと来ず、自身の不明を恥じたのだった。それにしてもシェイクスピアを生業とする人生とは、何という幸福であろうか。

 

フランコ・ゼフィレッリ監督による英国・イタリア合作映画。俳優方を英国人、制作方をイタリア人が担ったようだが、まさに適材適所の手本と言うべきだろう。来し方の秩序、失われた美の残照への賛美である。

冒頭から終幕に至るまで、私は絶えず涙を流していたように思う。結末の残酷さを知っているからではない。映画に満ちる不断の美に終始圧倒されていたからである。

女優の名はオリヴィア・ハッセー。当時17歳、やや日に焼けた肌、仔鹿のように軽やかに動き回るお転婆な少女。しかし、その瞳がロメオを見つめる時、そこには至誠の光が宿る。それは恰も幼子の信仰に似た真直ぐな視線である。

ああ、この若き伉儷の愛の讃歌の如何に神聖なことか。視線を交わしたその一瞬間、雷に打たれたかのような衝撃が走り、やがて忘我の静寂と、それに続く情熱。このような恋を君はしたことがあるか。このような恋に巡り合える者は何という果報者であろうか。

 

異性に顧みられぬがゆえに僻み、「恋愛などに興味はない」と嘯く空虚な者たちよ。その心の貧しさを恥じ、人間と、そして現実と向き合うがよい。