20歳で夭折したレイモン・ラディゲ(Raymond Radiguet)の遺作。背景の描写は最低限に、恋愛心理の純粋な分析にページが割かれている点、ラ・ファイエット夫人の『クレーヴの奥方』を思わせる。文体の面にも硬質な古典主義を指摘することができる。
フランソワは知るのだった。自分がマアオにたいしてやさしい心を欠いていたことを
レイモン・ラディゲ(Raymond Radiguet, 1903-23)
14歳の頃から創作を始めた早熟な才子(本人はこのように呼ばれるのを嫌っていた)。ジャン・コクトーら前衛の詩人・画家たちの間で持て囃された。