Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

ラディゲ『ドルヂェル伯の舞踏会(Le bal du comte d’Orgel)』1924(堀口大學訳,1931)

20歳で夭折したレイモン・ラディゲ(Raymond Radiguet)の遺作。背景の描写は最低限に、恋愛心理の純粋な分析にページが割かれている点、ラ・ファイエット夫人の『クレーヴの奥方』を思わせる。文体の面にも硬質な古典主義を指摘することができる。

 

フランソワは知るのだった。自分がマアオにたいしてやさしい心を欠いていたことを

 

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レイモン・ラディゲ(Raymond Radiguet, 1903-23)
14歳の頃から創作を始めた早熟な才子(本人はこのように呼ばれるのを嫌っていた)。ジャン・コクトーら前衛の詩人・画家たちの間で持て囃された。