Mon Cœur Mis à Nu

But, darlings, the show must go on.

金子修介『1999年の夏休み』1988

金子修介監督作、『トーマの心臓』に着想を得て制作されたといふ、寄宿舎学校に学ぶ4人の少年の物語。

 

少年の役を少女に演じさせてゐるのは、制作陣のロリコン趣味かな。80年代、時恰もロリコン文化最盛期だから仕方がない。不自然だ、顔が女だもの。少年に演じさせてゐればより耽美的になつたらうに勿体無く思ふ。男の真似をする女を見るのは、カトリックの私には大変堪へる。

 

横浜の大倉山記念館やいまなき鹿島鉄道線の気動車内でのロケは我等にとつてノスタルジックである一方、彼等が放射能に汚染されたディストピアに生きてゐることが暗示されてをり、その点SFチックでもある。この二面性は、我等をして彼等が異世界の住人であることを認識せしめるので、作品の耽美性が増す仕掛けになつてゐる。完成した世界観である。

 

作中にヘッセの『デミアン』が引用される。私の蔵書に『デミアン』は確かにあるのだが、読んだ記憶がない。ヘッセで記憶に残つてゐるのは『車輪の下』、壊れてゆく少年の心を何とも痛ましく感じたのだつた。本映画とヘッセは似たやうなthesisを持つてゐる。少年等が演奏するのはベートーヴェンピアノ三重奏曲第7番 "Archduke”。

 

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