溝口健二監督作。京マチ子、田中絹代らが出演。
ヴェネツィアでの銀獅子をはじめとして国際的な評価が高い。ゴダールやユスターシュなどヌーヴェル・バーグの系譜に與えた影響も大きい。
銀獅子も宜なるかな。この作品ほどに表現力に富み、芸術性の高い映画というのは、1953年の時点ではなかなかみあたらない。霧深い湖、焔が放つ光の具合など、感嘆した場面を挙げればきりがない。幻想性を演出する力量に拍手。
田中絹代が涙を怺えつつ船を追うシーン、何かのデジャヴだと思った。木下恵介監督『陸軍』1944のラストシーンで同じ顔をしていた。