Epistula ad mē

美というものは、芸術と人間の霊魂の問題である

シャトーブリアン『アタラ(Atala)』1801

『アタラ』は作者の目論見から『キリスト教精髄』に先んじて発表されたが、翌年同書第3部第6篇として組入れられた。本作には作者がアメリカ大陸に渡り得た見聞が描写されており、そのエキゾチズムが評判を呼んだ。ヨーロッパ諸国では翻訳が相次いだという。

形式としては、本編について云えば、インディアンの翁シャクタスによる、アメリカに渡ったフランス人の青年ルネに対する独白。全体を通してみれば、それを伝聞した男(シャトーブリアン自身であろう)が、物語を記録したという形を取っている。

物語の内容は、作中でオーブリ神父が云うように「熱狂的な信仰と宗教上の知識の不足とから起こる危険の恐ろしい実例」である。その上でそのような危険、これは即ち「恋愛の激情」と「死の恐怖」とを指しているのであるが、これらに対するキリスト教の勝利を謳っている。

『アタラ』と『ルネ』を通して読むことにより、シャトーブリアンの宗教観が見えてくる。強調されているのは、人間の心の移ろい易さと、それに対するキリスト教の絶対性である。