Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

ヴィスコンティ『夏の嵐(Senso)』1954

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ルキノ・ヴィスコンティ(Luchino Visconti)監督作。リソルジメント期のイタリアを舞台とする。
ファーリー・グレンジャー(Farley Granger)演じる天上の美を誇る魔性の男。彼の魅力に憑りつかれた伯爵夫人が身を堕とす。「オム・ファタル(homme fatal)」とでも言えばよいのか。抽象的な概念を、このレベルまで役者に体現させるヴィスコンティの力量に感心する。

 イタリア統一、新しい時代に希望を託して個人を捧げる青年たちと、ただ己が欲する所へ猪突する2人とが好個の対照を示していた。壊れていく現実から目を背けたい、そんな厭世観を感じ取り、私もやや同情を感じた。