森開社上梓。ヴィリエ・ド・リラダン伯爵とステファヌ・マラルメの間に交わされた書翰集。互いの存在が、彼岸世界の詩人らをして、しばし現世にとどまる理由にすら成り得た友情。手紙は歯抜けで、内容に満足はしていないが、それでも示唆に富むものであった。
以下、若きヴィリエがマラルメにおくった文をみて欲しい。
ああ!二人だけで、取分け心地好い夕方を過ごせたらばと思う。なぜならあなたの言うこと為すことを私がどんなに愛しているかお分かりでしょう!
人はヴィリエの「逆説」や「韜晦」に眩惑されている。これらはブルジョワどもに笞搏つため、彼が用いた已無き武器に過ぎない。彼の魂の裡の熱き涙をこそ、人は知るべきである。