Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

島耕二『細雪』1959

京都のuplinkが「京マチ子映画祭」を催している。今日観たのは島耕二が監督を務めた1959年の『細雪』だが、他にも『痴人の愛』や『黒蜥蜴』を観に行く予定。

原作のメロドラマチックな場面だけを努めて借用したような作品であった。ちょっとの仕草や変化から「察する」文化をこそ、『細雪』は描いているのであるから、この映画のようなやり方はよろしくないと思う。もっと原作者の風流を尊重すべきだ。


京マチ子が務めたのは「中姉ちゃん」こと次女幸子の役。原作中で幸子の見目は「陽気で近代的」「非常にぱっとした派手なお顔立ち」と説明されるが、イメージ通りの配役。
だが私は京マチ子よりも山本富士子に目が行った。大変な当たり役だと思う。「き姉ちゃん」こと三女雪子を演じているのであるが、楚々とした美しさを持つ雪子にぴったりの日本美人を充ててくれたなと思う。和服がよく映えていた。作中最も脚色を入れられたのが雪子であって、やや行動的過ぎるなとは思ったが、意思の固さとおしとやかさと、原作のイメージによく合っていた。