Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

モーリアック『火の河(La fleuve de feu)』1923

フランソワ・モーリアックが創作の初期に遺した短篇小説。「火の河」とは「罪の状態」の比喩表現である。

處女性を渇望する蕩児と、娘の魂の救いのため手を尽す女、この両者の間を彷徨する娘。前二者は、それぞれ悪魔と神の声を象徴している譯。

モーリアックは人間のありのままの姿(すなわち野性的・低劣)を見事に描出す。その描写がまあ不快なのであるが(同宗からモーリアックが攻撃される所以)、モーリアックは「不快なもの」を敢えて書くことで、「神に背を向ける者の悲惨さ」を愬える。

人間は心の渇きを癒やすために惡を求めるが、それで彼等が満たされる事はない。何故なら、彼等が渇望する眞の対象は神であるから。この事実を意識し、神と正面から向きあった時、はじめて人間の心は潤うのだと思う。これは私自身に言い聞かす為書いている。

 

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紅茶が届いた。ひとつはセイロン・ウバのIdulgashinne Bio Estate、もうひとつはディンブラのCairness Tea Estateのもの。あわせて150g。