Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

20210501日記

2021.05.01
青蓮院門跡の楠を見た。親鸞が植えたものと書いてあるが眉唾物。服を作りに四条まで出かける。

 

2021.05.02
行きつけの紅茶屋に寄り、お決まりの散歩道をゆく。南禅寺から禅林寺、若王子神社安楽寺法然院を経て慈照寺に至る。高度に洗練されたルーティーン。青楓が美しい。

 

2021.05.03
三尾めぐりをする。雄山神護寺槇尾山西明寺、栂尾山高山寺神護寺で力を使果たして、あとの2つは大して見ていない。台風の被害を受けた高山寺は寂しいまま。

 

2021.05.04
厭世の思いがつのる。心身ともに休んでいる積なのに。
何が足りていないのか判らない。1人になりたいと思う。

 

2021.05.05
嵯峨野を歩く。常寂光寺、小倉山二尊院、化野念仏寺まで。帰りは清凉寺の三門を観て嵐山まで戻った。僕は渡月橋あたりが苦手。

 

2021.05.06
法然院を再訪。東山で最も美しい場所。また文教の制服を着た少年を見かけた。お寺の子だろうか。

iwis=certainly
archangel 大天使
gofer 雑用係
frottage こすり付けること
seamstress お針子
dysentery 赤痢
雲散霧消 跡形もなくなること
韃靼(だったん) タタール
犬儒的 冷笑的なさま、ディオゲネスが由来

コクトー『恐るべき子供たち(Les enfants terribles)』1929

ジャン・コクトー(Jean Cocteau)は生涯3作の小説を遺しているが、『恐るべき子供たち』が代表作といってよい。阿片中毒の治療中に僅か17日で書き上げたらしい。
感傷的なラストシーンがあまり好きではない。混乱を混乱のままに書いている印象。少年たちの心理について説明不足。


・フランス心理小説の伝統につらなる? 分析対象は反理性的な少年たち。
・理性(=大人、ブルジョワ社会)対反理性(=子供の夢想)の構図。
・残虐性。滅びの美学。
・過大評価。
ベルトルッチの映画『ドリーマーズ』はこの小説を参考にしているのではないか。

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美の特権は絶大である。美はそれを認識しない人びとの上にも働きかける。

 

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ジャン・コクトー(Jean Cocteau), 1889-1963

ブリテン「入祭唱(Procession)」『キャロルの祭典』


www.youtube.com

『キャロルの祭典』の入祭唱。グレゴリオ聖歌"Hodie Christus natus est" と旋律を共有。宗教曲のソプラノは少年合唱団に任せるに限る、それが不安定であろうと。

 

Hodie Christus natus est:
今日、キリストがうまれた

hodie Salvator apparuit:
今日、救世主が現れた

hodie in terra canunt angeli:
今日、天使たちは地で歌い

laetantur archangeli:
大天使たちは大いに喜ぶ

hodie exsultant justi dicentes:
今日、正しき人たちは歓び歌う

Gloria in excelsis Deo.
「天のいと高きところには神に栄光」と

Alleluia! Alleluia! Alleluia! 
アレルヤ

川端康成『古都』の舞台探訪(1)

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以前『金閣寺』でやったのと同じことを、川端の『古都』でやろうという試み。京都市内で完結する。

東山方面
千重子と真一が、平安神宮に枝垂れ桜を見に行く。その後、京の町の夕暮れをみるため、清水へ向かう。
平安神宮
南禅寺
知恩院
円山公園
清水寺

ほかにも、
・青蓮院門跡の楠...家族で観に行く。
・熊野若王子...高雄と並んで新緑が美しい場所として言及。

 

高雄方面
千重子が友人ともみじの若葉(青楓)を観に行く。その帰りに、はじめて生き別れの姉妹苗子を見る。
・高雄神護寺
・槙尾西明寺
・栂尾高山

 

嵯峨野方面
千重子の好きな場所
・仇野念仏寺
二尊院
野宮神社

「少し嵯峨を歩いて帰ります。嵐山は今ごろえらい人やし、野々宮や、二尊院の道や、仇野が、うちは好きどす。」

 

フローベール『ボヴァリー夫人(Madame Bovary)』1857

レアリスムの大作。ロマン的な夢を抱くエンマ・ボヴァリーは、平凡な現実の中で夢を1つ1つ喪い、遂には身を滅ぼす。
汚い現実描写が精緻である。殊にエンマが死にゆく様の描写=装飾のない執拗な穢れの描写には驚いた。死を飾り立てるロマン主義との違いを感じた。

凡庸だが優しいシャルルの恵まれない子供時代を、小説の冒頭に置いてあることが、大変な効果を生んでいるように思う。

 

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ギュスターヴ・フローベール(Gustave Flaubert) 1821-80
"Madame Bovary, c'est moi."との言葉を遺しているように、元来ロマン主義的な性格で、ブルジョワ社会の卑俗さを嫌っていた。しかし、軽蔑の対象である現実社会を書いた『ボヴァリー夫人』によって、逆説的にレアリスムの基盤を確立した。

ラディゲ『肉体の悪魔(Le diable au corps)』1923

レイモン・ラディゲが16~18歳の間に書かれた小説。すこぶる皮肉な調子で、戦時下の少年の恋愛を描く。少年のエゴイズムに振り回されて女性が破滅を迎えるというストーリーは、コンスタンの『アドルフ』を思わせる。
 

予備自衛官補採用試験について

変わり種だが、その内容をメモしておく。内容は面接、筆記、身体検査。正確に記憶している訳ではないので、参考程度に。

面接について
名前及び受験番号
志望動機
どれくらいの期間務める予定か
親族、保護者の同意は得ているか
訓練に参加できるか
スポーツの経験はあるか
体力はあるか
長く続けている趣味はあるか
自衛隊の印象について

身体検査について
歯科、尿(淡泊及び糖)、視力、身体測定、血圧、X線、関節運動、問診

筆記試験について
論文試験(60分)
特別に対策の必要ない、一般的な問いである。
出題例「あなたの技能を生かして、自衛隊でどう活躍するか」
適性検査(35分)
70問程度の設問に対し、「はい」か「いいえ」で答えるもの。

 

試験時間は厳守されない。
私の場合は予定終了時刻を2~3時間過ぎて漸く解放された。こういう所に自衛隊という組織の性格を垣間見ることができる。

ラディゲ『ドルヂェル伯の舞踏会(Le bal du comte d’Orgel)』1924(堀口大學訳,1931)

20歳で夭折したレイモン・ラディゲ(Raymond Radiguet)の遺作。背景の描写は最低限に、恋愛心理の純粋な分析にページが割かれている点、ラ・ファイエット夫人の『クレーヴの奥方』を思わせる。文体の面にも硬質な古典主義を指摘することができる。

 

フランソワは知るのだった。自分がマアオにたいしてやさしい心を欠いていたことを

 

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レイモン・ラディゲ(Raymond Radiguet, 1903-23)
14歳の頃から創作を始めた早熟な才子(本人はこのように呼ばれるのを嫌っていた)。ジャン・コクトーら前衛の詩人・画家たちの間で持て囃された。