Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

函館紀行(2)_カトリック元町教会(2)

詩人てふ苛立ちやすき種族

 

雨、涼しい。

聖母被昇天を函館元町教会で祈る。教会への道すがら、街に鐘の音が響いていたが、あれは正教会のものだろうか?彼らもまたNotre Dameの祭日を祝っているのだろうか?しかあれかし。函館は信仰と共にある街だ。衰退の一途を辿っているというが、私に云わせれば、素敵な街なればこそ衰退するのだ。畢竟、草莽の奴輩には価値あるものの識別ができず、崇高さは現代に流行らないのだから。

ミサに与らせて頂いたが、典礼に音楽の欠けている事が悲しかった。地方の教会では珍しい事ではない。これが主の御心?典礼改革とは何なのかと疑いたくなるが、そのような猜疑心は捨てなければならない。"Fiat voluntas tua"、主よ、私にマリア様の慎ましさを。

ミサの後、仏料理屋で昼餉を済まして、教会へ戻る。美くしいゴチックの教会で跪き、1時間、2時間と祈りを捧げる事は、何と精神に良いのだろう。汚濁の都府で結構なうつし世を生活する私の、苛立ち荒んだ心が浄化されていく。