Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

20230706日記

晴れ、暑い。鬼子母神で縁日、祭囃子が微かに聞こえる。ひどい倦怠に襲われているが、書物を読む気力の在ることが幸いである。

私はフランス被れかアングロマニアかのように看做される事が多い。食事、服装、音楽、文学の趣味に西洋偏向が目立つせいだろうが、実のところそうでもない。私はポワロー葱のビシソワーズと同じくらい出汁茶漬けが好きである、他もまた然りである。

思うに、私は日本に居ながら西洋人の真似事をするのが愉しいのである。だからもし仮にフランスに生れ暮らしていれば、私はオリヤンに想いを馳せる夢想人、熱烈なジャポニスムの信奉者になっていた事だろう。要するに天邪鬼なだけである。

夜半に茶漬けを食べながら、ふと思ったのであった。

 

賞与が振込まれたので羽田発シャルル ド ゴール行の航空券を買った。降誕祭から年明けまでをパリに過ごすことに。宿は9区辺りに取ろうと思っている、というのはサン トリニテ教会のミサに与りたいから。サン ニコラ ドゥ シャルドネ教会にも行きたいと思っている、但しここは異端だから仲間には秘密で。

私の場合旅行となると、それが国内だろうと外国だろうと、旅程は教会巡りに終始してしまう。今夏は避暑のため北海道に行くが、訪れる積りでいるのは教会と修道院のみ。ああそうだ、この件で修道院に手紙を出さなければならないのに、先々週に買った往復葉書がビューローの棚深くに埋もれている。

それにしても他の若い人は何を愉しみに旅行をしているのだろうか。