Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

20230513日記

雨。過し易い気温。

カルミーナの革靴を買ひ、手入れとトゥスチールの埋込みを依頼する間、上野の国立西洋美術館まで出掛けた。目的は「ブルターニュ展」。

国内のコレクションが殆どで、大した展示ではなかつたけれど、行かぬよりは行つて良かつた。数々の書物より我が脳裡に描きしブルターニュの情景。それの答え合わせみたいなものだつた。シャルル・コッテなる画家(ポスト印象派、バンド・ノワールに組する)の描くブルターニュ女の装ひが特別記憶に残つてゐる。

今回の企画展に関係なく、私は予てよりブルターニュに好意を寄せてゐる。信仰に篤く熱心な王党派。ケルトの戦闘的精神を引継ぎ、「不名誉よりも死を」をモットーとする誇り高き民族を育んだ土地。そしてヴィリエ・ド・リラダンが幼少期を過ごした土地。彼はこの地で初恋を、なお「真の貴族は一度しか恋をしない」故に、生涯ただ一度の恋を経験したのである。