Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

谷崎潤一郎『少将滋幹の母』1950

うつつにて誰ちぎりけむ定めなき
夢路にまよふ我は我かは

 

若妻を奪われた老翁と、母を奪われた子の話。
古典からの引用と、谷崎の創作とが巧に織り交ぜられ、ひとりの美くしき女性を巡る艶めかしい物語に仕上っている。谷崎の深い学識に感嘆させられる。