Mon Cœur Mis à Nu / 赤裸の心

「美」といふものは「藝術」と人間の靈魂の問題である

20231220日記_チェスターフィールドコートに就いて

忌まわしい事に眠れない為、件のチェスターフィールドコートに就いて書こうと思う。仕立屋がホームページで紹介をして呉れていたので写真を拝借。構わない、私のコートである。

チェスターフィールドコートは、英国で生れた王党派の外套である。シングルの比翼仕立とするのが正式だが、ダブルもよく見られる。ダブルの場合6つ釦が多く、2つ掛或いは3つ掛。ピークドラペルとするのが、アルスターコートとの主な差異である。着丈は流行りで変化して来たが、膝前後が主流であり、美しい。

装飾のない外套だが、上衿に黒天鵞絨の打込み。これはチェスターフィールドコートの存在理由<Raison d'etre>である。これを缺く外套は、断じてチェスターフィールドコートではない。上に「王党派の外套」と書いたが、然り、この天鵞絨の黒は、大革命の擾乱で正統なる王家を失った、仏蘭西に対する永久の喪を表すものである。