曇り後霽れる。風が冷たく心地よい。
復活節第三主日。先日仕上がったトラバルドトーニャのベージュスーツに身をつつみミサに与る。ミサ後レモネードを配る(?)
近所のフランス旗亭で食事を済ませ、銀座に向かう。「ブリッヂ」でMと会う。数えてみた所4年ぶりの事である。その星霜を感じさせないのは、時々は電話をしているからでもあろうが、それよりも、互いの性質が変っていない為だと思われる。
彼女でない旧友と会う時、私は淋しい思いをすることが非常に多い。それは彼等の悉くが近代社会に適応すべく「進化」を遂げており、私の知らない人間となっているから。"Ich kenne des Menschen nicht."。悵然大息。温めるべき旧交は、もうそこにはない。
だが、そんな有象無象供と異なり、彼女は変わっていなかった。それは私にとって喜びであり慰めであった。