Epistula ad mē

美というものは、芸術と人間の霊魂の問題である

ドールヴィイ『デ・トゥーシュの騎士(Le Chevalier Des Touches)』1864

バルベイ・ドールヴィイらしい「語り」による物語小説。

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バルベイの故郷ノルマンディー、大革命の時代が舞台。

実在するふくろう党(レ・シュワン)の騎士ジャック・デトゥーシュ(Jacques Destouches de La Fresnay)の英雄譚に着想を得て書かれており、物語の大筋は1799年の史実、デ・トゥーシュ奪還事件に基く。

喪われた貴族的栄光への郷愁を主題とみてよかろう。貴族の気高さを鮮やかに描き出す一方で、貴族を見棄てたブルボン王朝に対する非難めいたものが読み取れる。

強烈なロマンチシズム。ロマン主義を心から信奉する者は本作を賞賛するであろうが、そうでない者は、陳腐で切れの悪い長文に辟易するだろう。

最終章「ある紅潮の来歴」では、エメ嬢がデ・トゥーシュの前で紅潮してしまう理由、すなわち「隠されていながら物質的痕跡によって露顕してしまう現実」がミステリー風に明らかにされるが、これが面白い。この構想は1856年のドールヴィィが訪ねた癲狂院での、デ・トゥーシュとの面会が叶ったために生まれたとか。

 

パイヤッソン じゃがいもを千切りにしてパンケーキ状に焼いたフランス料理