Epistula ad mē

「美」というものは、藝術と人間の霊魂の問題である

エドマンド・ウィルスン『アクセルの城(Axel's Castle)』1931

米国人文学者による象徴主義についての文学評論。
ヴィリエ・ド・リラダンの詩劇『アクセル』の主人公、アクセル・ドーエルスペール伯を、象徴派のあらゆるヒーローたちの典型であると看做し、書名に用いている。

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象徴主義ロマン主義に対応するものであり、事実、ロマン主義の自然の産物なのである。しかし、ロマン派の特徴が、愛、旅行、政治といった、経験それ自体のために経験を求めること、人生のさまざまな可能性をためすことにあったのに対して、象徴派は、同じく公式を嫌い、同じく因襲を捨てながら、自分達の実地訓練を文学の領域だけに限って進める。そして、彼らはまた、本質的には探検家でありながら、ひたすら想像力と思考の可能性だけを探検する。また、ロマン派が、その個人主義の立場から、すわりごこちの悪い社会というものに反抗あるいは挑戦するのが通例であったのに対して、象徴派は社会から距離をおき、社会に対する無関心を養う。象徴派はその独特の個人的感受性を、ロマン派が練磨した点以上に練磨するであろうが、その個人的意志を主張したりはしないだろう。象徴派は、終局的には、ちょうど象徴派の代弁者アクセルは人生の舞台を一変させたように、文学の領域を、客観的なものから主観的なものへ、社会とともにする経験から孤独においてかみしめられるべき経験へと、完全に一変させるであろう。