今日は祖父と祖母に会いに行った。
かつてこれ程まで、主なる神に強く祈ったことがあったか。助けを求めたことがあったか。
祖父のことだ。日に日に頭と体が弱っている。言葉を交わすことにも苦労するほどだ。けれど僕には分る。祖父の僕に対する愛は健在だった頃と少しも変わっていないことが。僕に会うことを何よりの楽しみにしていてくれることが。
僕が小さかった頃、祖父は日頃から僕に会いに来て遊んでくれた。僕は帰って欲しくなくて、夕方になると祖父の靴を隠した。家族に宥められ、僕が泣きながら靴を差し出したことは、今では笑い話になっている。
いまは逆だ。祖父は僕に対して帰って欲しくなさそうな表情をみせる。強く別れを惜む様子をみせる。以前には無かったことだ。感情のコントロールができなくなっているのか。